こんにちは!MySTEPスタッフの石川です。
「将来どんな仕事をしたいか、まだ全然わからない」「大学の学部を選ぼうとしたけど、そもそも世の中にどんな仕事があるのか見えていない」——そんなふうに感じている高校生は、実はとても多いです。
やりたいことがまだ決まっていなくても、まったく問題ありません。でも、「そもそも世の中にどんな仕事があるのか」という地図だけは、早めに手に入れておくと、進路選びの解像度が格段に上がります。この記事では、仕事の世界を「業界」と「職種」というふたつの軸で整理して、高校生のうちに知っておきたい全体像をやさしくお伝えします。
この記事でわかること
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- まず「業界」と「職種」の違いを理解しよう
- 主な「業界」の種類と役割
- 代表的な「職種」の種類
- 「BtoB」と「BtoC」という視点も知っておこう
- 会社はどうやって利益を出す?給料が生まれる仕組みも知っておこう
- BtoBとBtoCの違い——名前を知らない「隠れた優良企業」の見つけ方
- 外資系企業とは?日系企業との違い——働き方・給与・評価
- GAFAM・巨大テックとは?いま伸びる成長産業
- 公務員という選択肢——種類・なり方・メリットとデメリット
- 海外で働く・グローバルに活躍する仕事——外交官から現地就職まで
- 働き方の多様化——起業・フリーランス・副業・転職前提の時代
- AIで変わる・消える・生まれる仕事——これから必要になる力
- SDGs・社会課題を仕事にするには?
- まちづくり・地方創生の仕事——地域を支える仕事の実像
- 農林水産・食料・環境を支える仕事
- 業界と進路選びをつなげて考えてみよう
- 職業別に調べる
- あざみ野・すすき野エリアの高校生が今からできること
- よくある質問
まず「業界」と「職種」の違いを理解しよう
仕事を考えるときに混乱しやすいのが、「業界」と「職種」という言葉です。この2つを整理するだけで、仕事のイメージがずいぶんすっきりします。
業界とは、「何を扱うか」による分類です。食べものを作るか、お金を動かすか、ITシステムを作るか、といった「どの分野で働くか」を指します。
職種とは、「その中でどんな役割を担うか」です。商品を売る(営業)、広告を考える(マーケティング)、システムを作る(エンジニア)など、「何をする人か」を指します。
大切なのは、業界×職種のかけ算で仕事は決まるという視点です。例えば「営業職」という同じ職種でも、食品メーカーで働くか、IT企業で働くか、金融機関で働くかによって、日々の仕事の内容はまったく異なります。逆に、「エンジニア」という職種は、自動車会社にも、ゲーム会社にも、病院にも存在します。この「かけ算」の感覚を持つだけで、仕事の世界の広さが見えてきます。

主な「業界」の種類と役割
大学生になると、就職活動のなかで「業界研究」をするのが一般的です。どの業界に進むかによって働き方や仕事内容が大きく変わるため、業界を知ることは就活の第一歩とされています。高校生の今から業界の地図を知っておくと、大学の学部を選ぶときの視野も広がります。以下に主な業界をざっくり紹介します。
① メーカー(製造業)
原材料や部品を加工して製品を作る業界です。食品・飲料、自動車、電機・電子機器、化学品、医薬品など、私たちの生活を支えるほぼすべての「モノ」が関わります。製品開発・研究から生産・品質管理まで、幅広い職種が存在します。
② 商社
モノの売買を仲介したり、さまざまな事業に投資したりする業界です。「何かを作る」というよりも「ビジネスをつなぐ・動かす」のが役割で、扱う商品や地域が非常に多岐にわたります。
③ 流通・小売
作られた商品を消費者に届ける業界です。スーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストア、ネット通販プラットフォームなどが代表例です。商品の仕入れ・陳列・販売・物流など、日常生活に最も身近な業界のひとつです。
④ 金融
お金を貸す・預かる・運用する・保険でリスクに備えるなど、「お金を扱う」業界です。銀行、証券会社、保険会社などが代表的です。専門知識を要する職種が多く、資格を活かしやすい分野でもあります。
⑤ IT・ソフトウェア/通信
スマートフォンのアプリやWebサービス、企業向けのシステム開発、インターネットや携帯電話の通信網を支える業界です。近年は多くの産業でデジタル化が進み、IT人材の需要は非常に高まっています。エンジニアやプログラマーだけでなく、企画・営業・デザインの職種も多くあります。
⑥ インフラ・サービス
電力・ガス・水道・鉄道・航空など、社会の基盤を支える業界です。私たちの生活に欠かせない存在で、安定性が高い傾向がありますが、社会責任の重さも大きいのが特徴です。
⑦ マスコミ・広告
テレビ・新聞・出版・ラジオ・インターネットメディアなど「情報を届ける」業界と、その情報発信を手伝う広告業界です。コンテンツの企画・制作・編集・営業など、クリエイティブな職種も多く集まります。
⑧ 官公庁・公務
国や地方自治体で行政サービスを担う仕事です。公務員試験を経て就くことが一般的で、政策立案・住民サービス・インフラ整備など、社会全体に関わる仕事を担います。
このほかにも、コンサルティング、建設・不動産、医療・福祉、運輸・物流など、多様な業界があります。「思っていたより世の中の業界って広いな」と感じてもらえたなら、それだけで今日の記事の目的は達成です。
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代表的な「職種」の種類
続いて、どの業界にも共通して存在するような代表的な職種を紹介します。
営業:自社の商品・サービスを顧客に提案・販売する役割です。コミュニケーション力が活きる仕事で、ほぼすべての業界に存在します。
企画・マーケティング:新商品のアイデアを考えたり、どうすれば多くの人に商品を知ってもらえるかを考えたりする役割です。データ分析や消費者心理の理解が求められます。
事務・管理(バックオフィス):経理・人事・法務・総務など、会社の運営を内側から支える職種群です。どの企業にも必要とされます。
研究開発(R&D):新技術や新商品の開発・研究に携わります。メーカーや医薬品業界で特に需要が高く、理系の学部・大学院出身者が多い傾向があります。
技術職(エンジニア・生産技術):製品の設計・製造工程の管理・ITシステムの構築など、専門的な技術を用いる職種です。業界によって内容は大きく異なります。
専門職(医療・法務・会計など):医師・看護師・弁護士・公認会計士・薬剤師など、国家資格や専門資格が必要な職種です。資格取得のための学部・学校が決まっている場合が多いため、高校段階での進路選択と直結しやすいです。
クリエイティブ(デザイン・編集):グラフィックデザイン・UI/UXデザイン・写真・動画・文章など、表現を仕事にする職種です。IT・広告・出版など幅広い業界で求められます。

「BtoB」と「BtoC」という視点も知っておこう
もうひとつ、仕事を理解するうえで知っておきたい言葉があります。それがBtoB(ビー・トゥ・ビー)とBtoC(ビー・トゥ・シー)です。
BtoCは「企業が一般消費者(Consumer)に向けて商品・サービスを提供する」ビジネスです。コンビニ・飲食店・ファッションブランドなど、日常生活で直接触れるサービスが代表例です。
BtoBは「企業が他の企業(Business)に向けて商品・サービスを提供する」ビジネスです。例えば、工場で使われる機械を作るメーカー、企業向けの経理システムを開発するIT企業などは、一般消費者にはあまり知られていなくても、産業の中では非常に重要な役割を担っています。
「名前を聞いたことがない会社だけど、実はとても重要な存在」という企業がBtoBには多くあります。就職活動を始めた大学生がよく驚くのが、「知らない会社のほうが圧倒的に多い」という事実です。有名かどうかだけでなく、社会のどこに関わっているかで仕事を見ると、選択肢の幅がぐっと広がります。
BtoBの世界に具体的にどんな会社があるのか、「名前を知らない優良企業」の探し方は BtoBとBtoCの違い|隠れた優良企業の見つけ方 で詳しく紹介しています。
気になる業界や仕事を実際に調べたくなったら、この記事の後半にある「職業別に調べる」一覧から、職業ごとの記事もあわせて参考にしてみてください。また、「外資系企業」という言葉を耳にしたことがある人は、外資系企業とは?で概要をチェックしてみると、業界理解がさらに深まります。
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会社はどうやって利益を出す?給料が生まれる仕組みも知っておこう
業界と職種の地図が見えてきたところで、もうひとつ知っておくと仕事の見え方が大きく変わるテーマがあります。それが「会社はどうやってお金を稼いでいるのか」「給料はどこから来るのか」という、お金の流れの話です。アルバイトをしている高校生なら時給をもらう感覚は分かると思いますが、会社員の給料が何から生まれているのかまで説明できる人は、大人でも意外と多くありません。
お金は「誰かの困りごとを解決する」ことで生まれる
会社が手にするお金(売上)は、すべて「お客さんが払ってくれたお金」です。そして、お客さんがお金を払うのは、その会社が「自分の困りごとを解決してくれた」「自分が欲しいものを届けてくれた」からです。ビジネスの本質は「価値を提供すること」であり、お金はその価値と交換されるもの——「誰かの役に立った証拠」だと考えると、とてもシンプルに見えてきます。
そして会社の利益は、次の式で表せます。
利益 = 売上(お客さんが払ったお金) ー 費用(仕入れ・人件費・家賃・光熱費など)
売上がどれだけ大きくても、費用がそれ以上にかかれば赤字になります。逆に、費用を抑えながら売上を増やせれば利益が生まれ、会社は成長し、そこで働く人の給料の原資になります。
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ビジネスの「型」を知ると、業界の違いがもっと見える
会社がお金を稼ぐ方法(ビジネスモデル)には、いくつかの代表的な型があります。先ほど紹介した業界の分類と重ねて見てみてください。
① モノを作って売る(メーカー型):原材料を仕入れ、製品を作って売る形。製造コスト・開発費・人件費などが費用になります。
② 仕入れて売る(小売・商社型):コンビニのように、メーカーから仕入れて消費者に売る形。「仕入れ値と売値の差(粗利)」が利益の源泉です。
③ サービスを提供する:美容院・塾・病院など、モノではなく「体験・専門知識・時間」を売る形。提供する人のスキルが価値の中心になります。
④ 仲介して手数料をとる:不動産会社や就職エージェントのように、売り手と買い手をつないで成約のたびに手数料を得る形です。
⑤ 月額で使い続けてもらう(サブスク型):音楽や動画の定額配信が典型例。安定しやすい反面、「使い続けてもらえる価値」を出し続けることが求められます。
同じ「営業職」でも、メーカー型の会社と仲介型の会社では売るものもお金の流れもまったく違います。気になる会社を見つけたら、「この会社はどの型でお金を稼いでいるんだろう?」と考えてみると、業界研究が一段深くなります。
給料はどうやって決まる?「役に立った量×希少性」がカギ
会社が利益を出せば、その一部が社員の給料になります。給料の「高さ」は、一般論として次の4つの要素が絡み合って決まります。
① その仕事が生み出す価値・成果の大きさ:売上に直結する仕事、大きなプロジェクトを動かす仕事は、それだけ評価されやすい傾向があります。
② その仕事ができる人の「需要と供給」:同じことができる人が世の中に少なければ(希少性が高ければ)、給料は上がりやすくなります。
③ 業界の利益率:もうかる仕組みを持つ業界は、全体的に給与水準が高めになる傾向があります。業界の「利益の出しやすさ」は、働く人の収入にも影響します。
④ 役割・責任の大きさ:チームをまとめる立場や大きな意思決定をする立場は、その責任に見合った報酬が設定されるのが一般的です。
大切なのは、「学歴や資格そのものより、何ができるか・どんな価値を出せるか」が問われる場面が増えているという点です。少し極端に言えば、給料とは「誰かの役に立った量×その仕事の希少性」で決まりやすい、とも表現できます。

「好き」と「稼げる」は必ずしも一致しない——でも、どちらも大切
正直に言うと、「好きなこと」と「稼ぎやすいこと」は必ずしも一致しません。ただ、「好きなことを通じて、誰かの役に立てる価値を生み出せれば、収入につながりやすい」というのは本当のことです。
例えばゲームが好きな人なら、ゲームをただ遊ぶだけでは収入になりませんが、ゲームを作る(開発・デザイン・シナリオ)、解説動画を作る、大会を運営する——など、「好き」を「他の人の役に立つ形」に変換できると、それがビジネスになります。「好き」か「稼げるか」のどちらかに飛びつくのではなく、「自分が価値を出せる場所はどこか」を探すバランス感覚が、長い目で見たときに大切です。

当塾でも、「答えを出すだけでなく、なぜそうなるかを言語化する」ことを大切にしています。それは社会に出たときに「自分の価値を説明できる力」につながるからです。AIや技術の変化の中で必要になる力については、これから必要な力 の記事でもまとめています。
BtoBとBtoCの違い——名前を知らない「隠れた優良企業」の見つけ方
BtoBは企業向け、BtoCは消費者向けのビジネスのこと。就職先として注目されるのは、実は名前を知らないBtoB企業に多い——この章では違いの本質と「隠れた優良企業」の探し方を整理します。
突然ですが、あなたは「将来どんな会社に就職したい?」と聞かれたとき、どんな会社名が思い浮かびますか?
テレビCMで見たあの食品メーカー、スマートフォンを作るあのメーカー、街中に店舗があるあのアパレルブランド……。多くの高校生が思い浮かべるのは、こういった「名前を知っている会社」ではないでしょうか。
でも実は、その発想だけで就活に臨むと、世の中にある「良い会社」の大半を見逃してしまう可能性があります。今回は、進路を考え始めた高校生にぜひ知っておいてほしい「BtoBとBtoCの違い」と、名前が知られていないけれど実は優良な企業の見つけ方についてお話しします。

BtoCとは? 私たちが”知っている”会社の多くはここ
まず「BtoC」から説明します。BtoCは「Business to Consumer」の略で、企業が一般の消費者(私たち個人)に向けて商品やサービスを売るビジネスのことです。
例えば、コンビニ・スーパーで売っているお菓子や飲料、スマートフォン、ゲーム、ファッションブランドのお店などはすべてBtoCです。私たちが「お客さん」になる取引ですから、企業は広告やCMに積極的にお金をかけます。だから自然と名前が広まり、高校生のみなさんも知っている会社が多い。
「有名な会社=良い会社」と感じやすいのは、こういう背景があるからです。
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BtoBとは? 私たちの目には"見えない"企業のこと
一方「BtoB」は「Business to Business」の略。企業が個人ではなく、他の企業に向けて商品やサービスを提供するビジネスです。
少し具体的にイメージしてみましょう。あなたが今使っているスマートフォン。あの端末の中には、精密な半導体・液晶パネル・バッテリー・接続部品など、数百〜数千もの部品が使われています。それらを作っているのは、スマートフォンメーカーとは別の企業です。最終製品を売るメーカーに「部品や素材を売る会社」こそがBtoB企業の典型です。
自動車も同じ構造です。車体を組み立てる自動車メーカーは有名でも、そのエンジン部品・鋼板・塗料・電子制御システムを供給している会社は、ほとんどの人が名前を知りません。でも、それらがなければ車は一台も作れない。
BtoB企業は「消費者に売らない」ので、テレビCMを打つ必要がない。だから知名度が低いのです。知名度と企業の実力は、まったく別の話です。
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「知らない=ダメ」ではない。BtoBに優良企業が多い理由
BtoB企業の中には、特定の素材・部品・機械・システムで世界シェアの上位を占めるような会社が少なくありません。一般の消費者には知られていなくても、その業界では「この会社なしでは成り立たない」という存在感を持つ企業です。
なぜそういう企業が生まれやすいかというと、BtoBは取引先が企業であるため、「信頼と技術力が確立されれば長期的な取引関係が続きやすい」という特徴があります。一度採用された部品・素材・システムは、簡単には他社製品に乗り換えられません。これを「スイッチングコストが高い」と言います(聞き慣れない言葉ですが、要するに「替えるのに手間もコストもかかるから、しばらく変えない」という意味です)。
その結果、安定した収益を長く維持できる企業が生まれやすい構造になっています。就活の観点からも、こういった企業は倍率が相対的に低く、大手BtoC企業に集中する学生が見逃しがちな「穴場」になっていることも一般的に指摘されています。
もちろん、BtoC・BtoBどちらが優れているというわけではありません。それぞれに特性があり、自分に合った仕事・やりがいはどちらにもあります。大切なのは「知っている会社だけで判断しない」ことです。
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隠れた優良企業の見つけ方 ― 4つのアプローチ
では、高校生のうちから「世の中の仕組み」に関心を持ちつつ、BtoB優良企業を将来的に見つけるための視点を整理しておきましょう。大学生・就活生になってから突然やろうとすると大変なので、今から少しずつ「こういう見方がある」と知っておくと後で役立ちます。
① 業界地図で「川上」まで見る
書店に行くと「業界地図」という本があります(毎年更新されています)。これは各業界の企業がどのような構造・関係で成り立っているかを図解した本です。食品業界・自動車業界・IT業界など、さまざまな業界が載っています。
ここで注目してほしいのが「川上」の企業です。消費者に商品が届くまでの流れを「川」に例えると、消費者に近い側が「川下」(=BtoC企業が多い)、素材・原料・部品を供給する側が「川上」(=BtoB企業が多い)になります。業界地図で川上まで視線を伸ばすと、「こんな会社があるんだ」という新しい発見があります。
② シェアや技術力で会社を選ぶ視点を持つ
「この部品・素材・技術で国内シェア何位か」「特許を多く持っているか」という視点も有効です。業界専門誌や企業のホームページ(IR情報)には、こういったデータが掲載されていることがあります。「世界シェアトップ」「国内唯一の技術」という説明が出てくる会社は、たとえ名前が知られていなくても注目に値します。
③ 就職四季報・IR情報を読んでみる
「就職四季報」は大学生が就活で使う本ですが、高校生のうちに眺めてみると「世の中にはこんな会社があるんだ」という感覚が養われます。また各企業のホームページには「IR情報(投資家向け情報)」というページがあり、売上・利益・事業内容が公開されています。難しく感じるかもしれませんが、事業内容の説明を読むだけでも「この会社は何で稼いでいるのか」のイメージがつかめます。
④「なぜ儲かるか」(ビジネスモデル)を考える習慣
企業研究で最も大切な問いのひとつが「この会社はなぜ儲かるのか?」です。コンビニなら「フランチャイズで多店舗展開するから」、部品メーカーなら「替えの利かない精密部品を安定供給するから」……このように「儲かる仕組み(ビジネスモデル)」を考える習慣が身につくと、業界研究の質がぐっと上がります。
これは経済・ビジネスの思考力そのものです。実は現代文や社会(地理・公民)の授業で扱われる内容とも繋がっているので、日頃の学習をこういう視点で読み直すのもおもしろいですよ。
職種と業界をもう少し広い視野から整理したい方は、職種と業界の全体像の記事も合わせて参考にしてみてください。
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「世の中の仕組み」に関心を持つことが、進路の視野を広げる
BtoB・BtoCという言葉は、ビジネスの入門用語です。大学に入って経済学部・商学部・経営学部などに進むと授業でしっかり学ぶことになりますが、理系学部・文系学部を問わず、就活では必ず意識する視点になります。
また、将来やりたいことがまだはっきりしていなくても、まったく問題ありません。「BtoBってこういうことか」「自分が使っているものの裏にはこんな会社がある」という気づきを積み重ねること自体が、視野を広げる立派な進路探究です。
例えば、日常生活で製品を手に取ったとき「これを作ったのはどこ?」「この素材はどこの会社が作っているんだろう?」と一度立ち止まって考えてみる。それだけで「世の中の仕組み」への感度は確実に上がっていきます。
さらに視野を広げたい方には、外資系企業とはの記事も参考になります。国内企業・外資系企業・BtoB・BtoCを組み合わせて考えると、働く世界の全体像がより立体的に見えてきます。
あざみ野・すすき野の高校生が業界研究で視野を広げるために
今回の内容を整理すると、次の3点がポイントです。
まず「有名な会社=良い会社」という思い込みを手放すこと。BtoC企業はCMで目に入るから知っているだけで、BtoB優良企業は名前が知られていないだけで決して劣っているわけではありません。
次に、業界地図・就職四季報・IR情報といった「情報源」を知っておくこと。高校生のうちから完璧に読み込む必要はありませんが、「そういうものがある」と知っているだけで、大学入学後のスタートダッシュが変わります。
そして「なぜ儲かるか(ビジネスモデル)を考える習慣」を少しずつ身につけること。これは就活だけでなく、現代社会を生きる上での教養にもなります。
当塾では、受験勉強のサポートと並行して、こうした「学ぶ意味・社会との繋がり」を生徒が感じられるよう、日常の会話や授業の中で意識して取り上げるようにしています。進路に迷いがある生徒ほど、こういった「視野を広げる話」が突破口になることがあります。参考にしてみてください。
外資系企業とは?日系企業との違い——働き方・給与・評価
外資系企業とは、外国の資本が経営に関わっている企業のことです。給与水準・評価・働き方が日系企業とどう違うのか、イメージでなく仕組みで整理します。
「外資系企業に就職したい」「外資系ってなんか給料が高いらしい」——そんな話を聞いたことはありませんか? 就活の場面でよく出てくる言葉ですが、高校生のうちから意味や仕組みを知っておくと、将来の会社選びで迷いにくくなります。今回は「外資系とは何か」「日系企業とどう違うのか」を、できるだけわかりやすく整理します。

そもそも「外資系企業」とは?
外資系企業とは、一言でいうと「外国資本が経営の主体になっている企業」のことです。外国の企業が日本に設立した法人(日本法人)や、外国からの出資比率が高い企業などが当てはまります。厳密な定義は法律によって異なりますが、「外国のお金・仕組み・経営方針を中心に動いている企業」とイメージしておくとよいでしょう。
身近なところで言えば、IT・金融・コンサルティング・消費財など幅広い業界に外資系企業は存在します。もちろん、業界や会社によって文化はさまざまで、「外資系=こういう会社」と一括りにはできません。以下で紹介するのはあくまで一般的な傾向です。

「雇用の型」が大きく違う——ジョブ型とメンバーシップ型
外資系と日系の違いを理解するうえで、もっとも大切なキーワードが「ジョブ型」と「メンバーシップ型」という2つの雇用の型です。
日系企業に多い「メンバーシップ型」——人に仕事をつける
日本の企業の多くが採用してきたのが「メンバーシップ型」と呼ばれる雇用の形です。これは「まず会社の一員(メンバー)として採用し、そのあとで仕事を割り振る」という考え方です。新卒一括採用で入社し、その後の部署異動や職種変更は会社が決める、というスタイルが典型的です。
メリットは「会社が育ててくれる」安心感があること。終身雇用(長く同じ会社に勤める慣行)や年功序列(勤続年数が長いほど給与が上がりやすい仕組み)を前提にしている企業が多く、ひとつの会社でじっくりキャリアを積みたい人に向いています。何でも幅広くこなせる「ゼネラリスト」を育てる文化とも言えます。
外資系に多い「ジョブ型」——仕事に人をつける
一方、外資系企業で主流なのが「ジョブ型」と呼ばれる雇用の形です。「この職務(ジョブ)を担う人を採用する」という考え方で、最初から「マーケティング担当」「エンジニア」などと職務を特定して採用します。職種変更は少なく、その分野の専門性を高め続けることが求められます。
成果や実力が評価に直結しやすく、「自分のスキルを武器にして働きたい」「専門家として価値を高めたい」という人に向いています。ただし、自分から動かないとキャリアが開きにくい、という面もあります。
どちらが優れているというわけではなく、自分がどんな働き方をしたいかによって「合う型」が変わります。あなたはどちらのイメージが自分に近いですか?

給与の仕組みも異なる
給与の決まり方にも、大きな違いが見られます。
日系企業では「職能給」が多く採用されています。これは経験やスキルの蓄積に応じて給与が上がっていく仕組みで、勤続年数を重ねるほど安定的に収入が増える傾向があります。月給制が一般的で、住宅手当・退職金などの福利厚生が手厚い企業も多い傾向があります。
外資系企業では「職務給」や「年俸制」が一般的です。担当する職務の市場価値や、達成した成果によって給与が決まります。また、目標を達成したときに支払われる「インセンティブ(賞与・ボーナス)」が大きいケースも多く見られます。住宅手当や退職金といった福利厚生は日系に比べて手薄なことがありますが、その分、基本給が高めに設定されている傾向があります。
ただし、これも企業によって大きく異なります。日系でも成果主義を取り入れている会社はありますし、外資でも手厚い福利厚生を用意している会社もあります。数字やランキングだけで比較するのではなく、その会社の実態を調べることが大切です。
評価・文化の違い——「会社が育てる」か「自分で切り開く」か
日系企業は全体的に「会社が人を育てる」文化が根強く、協調性やチームワークが重視される場面が多い傾向があります。先輩から後輩へ知識・スキルを引き継ぐ文化もあり、じっくり時間をかけてキャリアを形成できる環境がある一方、「自分のペースで自由に動きにくい」と感じる人もいます。
外資系企業は個人の自主性が重視されやすく、「成果を出したぶんだけ評価される」という透明性がある反面、「結果が出なければ評価されない」というプレッシャーもあります。また、グローバルな環境で英語を使う機会が多い企業も少なくありません。
どちらが良い・悪いというわけではなく、「安定を重視したいか、成果に応じたダイナミックな評価を求めるか」「育ててもらいたいか、自走して切り開きたいか」という自分の価値観とのマッチングが大切です。
進路を考えるうえで、業界・職種の全体像を知っておくと選択肢が広がります。職種と業界の全体像の記事もあわせて読んでみてください。
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「ジョブ型」は今、日本企業にも広がりつつある
実は、「ジョブ型」は外資系だけの話ではなくなってきています。近年、日本の大企業の中にも、ジョブ型雇用の考え方を取り入れる動きが広がっています。新卒でも「どんな仕事をしたいか」をより明確に問われるようになってきており、「とりあえず大企業に入ればOK」という時代ではなくなりつつあります。
高校生のうちから「どんな仕事をしたいか」「どんな働き方が自分に合っているか」を少しずつ考えておくと、大学選び・学部選び・就職活動の際にぶれにくくなります。今すぐ答えを出す必要はありませんが、「働き方には型がある」「その型によって向き不向きがある」と知っておくだけで、社会の見え方が変わってきます。
働き方の多様化についてより詳しく知りたい方は、働き方の多様化の記事もご覧ください。
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すすき野・あざみ野の高校生が「進路」を考えるためのヒント
「外資系」「日系」という言葉は、大学受験が終わってから考えればいいと思っていませんか? でも、実は今のうちに知っておくことで、大学の学部選びや学んでおくべきスキルの方向性が見えてきます。
たとえば、外資系・グローバルな環境で働くことを視野に入れるなら、英語力は高校のうちからしっかり鍛えておく価値があります。また、「職務に特化した専門家」を目指すなら、大学でどの分野を深く学ぶかが重要になります。一方、「幅広い経験を積みながらキャリアを考えたい」なら、社内異動や研修制度が充実している企業を選ぶ道もあります。
当塾でも、進路について生徒と一緒に考える機会を大切にしています。「やりたいことがまだわからない」という高校生も多いですが、それは全く問題ありません。まずは「世の中の仕組みをちょっと知る」という姿勢から始めてみてください。今回の記事がその小さな一歩になれば嬉しいです。
どんな業界・職種・企業を選ぶにせよ、「自分はどう働きたいか」を考えておくことが、後悔しない進路選びの土台になります。ぜひ今日の記事を、自分の将来を考えるきっかけにしてみてください。
GAFAM・巨大テックとは?いま伸びる成長産業
GAFAMとは、Google・Apple・Facebook(Meta)・Amazon・Microsoftの米国巨大テック5社の頭文字です。なぜこれほど成長したのか、今どんな産業が伸びているのかを見ていきます。
突然ですが、あなたは「GAFAM」という言葉を聞いたことがありますか?ニュースや大人の会話で耳にしたことはあっても、「なんとなく大きいIT企業でしょ?」くらいの印象で止まっている人も多いかもしれません。でも実は、GAFAMや周辺の巨大テック企業の動きを知ることは、これからの学部選び・仕事選びに直結するヒントになります。今回は高校生の視点で、できるだけかみ砕いて解説します。
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GAFAMとは?1社ずつ整理しよう
GAFAMとは、次の5社の頭文字を並べた総称です。世界の経済や技術の方向性に大きな影響を持つ企業群として、ビジネスや経済の授業でも頻出のキーワードです。
G=Google(Alphabet):検索エンジンのシェアは世界でも圧倒的。YouTubeやGmailも傘下に持ち、近年は生成AIの開発にも注力しています。
A=Apple:iPhoneをはじめとするスマートフォン・PC・ウェアラブル端末を手がけ、ハードウェアとソフトウェアを一体で設計する独自モデルが強みです。
F=Meta(旧Facebook):FacebookやInstagram、WhatsAppを運営するSNSの巨人。仮想空間(メタバース)やAR・VR分野にも積極投資しています。
A=Amazon:ネット通販のイメージが強いですが、クラウドコンピューティング(AWS)の収益が事業の大きな柱になっています。
M=Microsoft:WindowsやOfficeでおなじみ。近年は生成AIを提供するOpenAIへの大規模投資でも注目されています。
そしてもう1社、最近特に話題なのがNVIDIA(エヌビディア)です。もともとゲーム用のGPU(画像処理チップ)で知られていましたが、そのGPUがAIの計算に非常に向いていることが判明し、AI半導体の分野で急成長。世界の時価総額ランキング上位に入るほどになっています(時価総額が1兆ドル=約150兆円規模を超える企業が近年10社超に増えており、NVIDIAもその1つ。数値は時点・調査により変動します)。

なぜこれほど伸びているのか?「土台」を支える企業が強い
GAFAMやNVIDIAがなぜこれほど大きくなったのか。それは、これらの企業が現代産業の「土台」を担っているからです。
たとえばクラウドコンピューティング。私たちが動画を見たり、書類をオンラインで共有したり、スマホのデータをバックアップしたりするとき、その裏側では巨大なサーバー(データセンター)が動いています。そのインフラを提供しているのが、AmazonのAWSやMicrosoftのAzure、GoogleのGoogle Cloudといったサービスです。
さらに今、生成AIの普及で「AIを動かすための計算量」が爆発的に増えています。AIは大量のデータを高速処理する必要があり、そのために必要なのが高性能なAI半導体(GPU)です。NVIDIAの半導体なしには、ChatGPTをはじめ多くのAIサービスが成り立たないとも言われています。
つまり「AI・データ・半導体」は、今の産業全体の土台になっており、その土台を握る企業が世界の評価を集めている、という構図があります。
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余談ですが、1989年頃の世界の時価総額上位には日本企業が多く入っていました。それが近年はほとんど入っていません。これは日本企業がダメになったというより、「産業の中心が製造業からデータ・AIへとシフトした」という大きな変化を反映しています(規模感の対比として参考程度に)。
これから伸びると見られる成長分野
GAFAMやNVIDIAの周辺だけでなく、広い視野で「これから伸びる分野」を見渡してみましょう。あくまで現時点で注目されている傾向であり、将来を断言するものではありません。

① 生成AI・AI半導体
ChatGPTに代表される生成AI市場は、今後さらに拡大すると予測されています(時点・調査により幅があります)。AIを動かすための半導体需要も連動して伸びる見込みで、設計だけでなく製造・素材・検査装置など幅広い産業に波及しています。
② クラウド・データセンター
AI処理の需要増に伴い、データセンターの建設・拡張が世界中で進んでいます。建設・電力・冷却設備など、IT以外の産業とも深く関わっています。
③ 再生可能エネルギー・電力インフラ
AIの計算には膨大な電力が必要です。データセンターが増えるほど電力需要も高まるため、太陽光・風力などの再生可能エネルギーや送電インフラへの投資も増えていると言われています。エネルギー分野の成長には、AI拡大が追い風になっているという面があります。
④ EV・パワー半導体
電気自動車(EV)の普及に伴い、電力を効率よく制御する「パワー半導体」の需要が高まっています。日本メーカーも強みを持つ分野として注目されています。
⑤ 宇宙・防衛
民間企業が宇宙ビジネスに参入する動きが世界的に広がっています。衛星通信・宇宙輸送・宇宙データ活用など、関連市場の成長が予測されています(時点・調査による)。
⑥ ヘルスケア・バイオ
AIを活用した新薬開発・ゲノム解析・個別化医療など、医療とテクノロジーが融合する分野です。バイオ医薬品の市場拡大も予測されており(時点・調査による)、理系人材への需要が高い分野のひとつです。
なお、日本にも半導体製造装置・素材・精密機器などで世界的に強みを持つ企業・分野があります。「AI=アメリカだけの話」ではなく、グローバルなサプライチェーンの中に日本が関わっている部分も少なくありません。
AIや仕事・職業の変化についてもっと詳しく知りたい方は、AIで変わる仕事とこれから必要な力もあわせて読んでみてください。

【予習フレーム】進路・学部選びにどう活かす?
大学生になると、学部・学科によって学ぶ内容が大きく変わります。社会に出ると、どの産業・職種に進むかで、扱う技術や市場の成長性も変わってきます。だから高校生の今のうちに「どんな分野が動いているか」を知っておくと、学部選びの視野が広がります。
たとえば情報・理工・データサイエンス系の学部は、AI・半導体・クラウドなどの分野と親和性が高いと言われています。一方で、エネルギー系なら環境・電気・機械系、医療・バイオなら医学・薬学・生命科学系、宇宙・防衛なら航空宇宙工学系、という具合に、成長分野と学部の対応関係を意識するのは有効な進路整理の一つです。
ただし、「伸びる分野=自分に合う」とは限りません。市場が大きくても、自分の関心・得意と全くかみ合わない分野では長続きしないこともあります。「この分野が面白そう」「こういう問題を解きたい」という自分の感覚も、大切な進路の軸の一つです。成長産業の情報はあくまで「地図」として使い、最終的に選ぶのは自分、という姿勢で向き合ってほしいと思います。
外資系企業や海外のテック企業への就職・キャリアについて気になる方は、外資系企業とは?の記事もあわせてどうぞ。
高校生が今できること:進路を考えるための具体的なアクション
「GAFAMが大きいのはわかった。でも自分は今、受験勉強をするので精いっぱい…」という人も多いでしょう。そこで、日常の中に取り入れやすいアクションを3つ紹介します。
① ニュースを「産業の目」で見る習慣をつける
AIや半導体、エネルギーに関するニュースが出たとき、「これはどの分野の話か」「どんな企業・学問が関わっているか」を意識して読むだけで、社会の構造が少しずつ見えてきます。1日5分でも構いません。
② 志望学部・学科のカリキュラムを調べてみる
気になる大学の情報学部や理工学部のウェブサイトを開いて、「どんな授業があるか」「卒業後どんな仕事に就く人が多いか」を眺めてみましょう。成長産業との関連が見えてくることがあります。
③ 「なぜ」と問いながら勉強する
数学や物理、情報の授業で習う内容が「どんな技術に使われているか」を少しだけ調べてみると、勉強の意味が具体的になります。たとえば行列の計算はAI・機械学習の基礎に使われますし、電磁気学はEV・半導体設計に深く関わっています。
当塾でも、進路に関する話題を授業の中で自然に取り上げ、「今やっていることが将来どこにつながるか」を意識してもらえるよう気をつけています。

あざみ野・すすき野の高校生へ:成長産業を「自分ごと」にするために
GAFAMやNVIDIAは遠い世界の話に見えますが、私たちが毎日使うスマホ・SNS・検索・ショッピングの裏側にあるのがこれらの企業です。そしてその企業が動かす産業の中に、情報系・理工系・医療系・エネルギー系など、さまざまな学問が結びついています。
高校生のうちに「どんな産業が世界を動かしているか」という地図を持っておくことは、学部選びの視野を広げるだけでなく、日々の勉強に「なんのために学ぶか」という意味を与えてくれます。やりたいことがまだはっきりしていない人も、この記事で紹介した分野の一つひとつを「面白そうか、そうでもないか」と感じてみるところから始めてみてください。進路は、正解を探すものではなく、自分の感覚を少しずつ育てていくものだと思います。
公務員という選択肢——種類・なり方・メリットとデメリット
公務員には国家公務員と地方公務員があり、いずれも公務員試験を経て就くのが一般的です。安定性だけでなく、仕事の中身と向き不向きまで含めて整理します。
「将来は公務員になりたい」――そんな声は、高校生の進路相談でもよく耳にします。でも、「公務員ってざっくり安定してそう」というイメージはあっても、実際にどんな種類があって、どんな仕事をしているのか、細かく説明できる人は意外と少ないものです。
この記事では、公務員という進路を種類・仕事内容・メリット・デメリットの4つの軸で中立に整理します。「公務員=安定」のひと言で終わらせず、自分に合うかどうかを自分の言葉で考えられるようになることが目標です。

公務員とは?まず「国家」と「地方」に分けて考えよう
公務員は大きく国家公務員と地方公務員の2種類に分かれます。
国家公務員は、中央省庁・国会・裁判所・出先機関などで働き、国全体の運営に関わる仕事を担います。法律や政策の企画・立案から、その実行まで、スケールの大きな業務が多いのが特徴です。
地方公務員は、都道府県庁や市区町村の役所などで働き、地域住民に密着したサービスを提供します。みなさんの身近にいる区役所の窓口スタッフ、公立学校の先生、警察官、消防士なども、広い意味での地方公務員に含まれます。
「国家=スケールが大きい、地方=地域に根ざす」とざっくりイメージしておくと、職種を比較するときに便利です。

国家公務員の3つの区分:総合職・一般職・専門職
国家公務員はさらに試験区分によって仕事の内容が変わります。
総合職(いわゆるキャリア)は、政策の企画・立案を中心に担う幹部候補です。試験の難易度が高く、採用後は複数の省庁をまたいだ異動も多い傾向があります。国の方向性を動かすダイナミックな仕事ができる一方、激務・転勤が多いことも一般的に指摘されます。
一般職は、総合職が立案した政策を実行・サポートする事務系の仕事が中心です。転勤の範囲は比較的限られることが多く、ワークライフバランスを重視したい人にとっては選びやすい区分ともいわれます。
専門職は、国税専門官・労働基準監督官・外務専門職など、特定の分野に特化した職種です。専門知識を活かして深く関われるのが魅力で、試験も専門分野に特化した内容になります。

地方公務員の仕事は「住民サービス」が軸
地方公務員には、行政職・技術職・専門職・公安職(警察・消防)など幅広い種類があります。
たとえば行政職なら、戸籍・税務・福祉・まちづくりなど、市民生活に直結したさまざまな部署を経験します。技術職なら土木・建築・農業・情報システムなど、専門的なスキルを活かす場面が多くなります。公安職である警察官や消防士は、地域の安全を守る最前線を担います。
「地域に貢献したい」「地元で長く働きたい」という思いがある人にとっては、地方公務員は特に身近な選択肢です。

公務員になるには?試験と学部の関係
公務員になる主な方法は公務員試験を受験することです。試験の内容は一般的に、教養試験(文章理解・数的処理・社会科学・人文科学・自然科学など)・専門試験・面接で構成されています。
大学の学部は原則として問われないことが多いですが、法律・経済・政治系の知識が問われる試験科目では、法学部・経済学部出身者が有利になりやすいという傾向は一般的に指摘されます。ただしそれは「有利になりやすい」という話であり、理系・文系を問わず対策次第で十分に合格できる試験でもあります。
高校生の「今」の段階では、志望学部を選ぶときに「公務員試験の教養に強い学部かどうか」を一つの視点として持っておくだけで、大学入学後の動き方が変わります。大学2〜3年生から本格的に対策を始める人が多いため、早めに全体像を知っておくことが大切です。
なお、職種や仕事の種類についてさらに広く知りたい場合は、職種と業界の全体像もあわせて読んでみてください。

公務員のメリットを正直に整理する
公務員が人気の理由はいくつかあります。一般的に挙げられるメリットを整理しましょう。
雇用の安定:原則としてリストラがなく、景気の変動に左右されにくいのは大きな特徴です。民間企業では業績悪化による解雇リスクが存在しますが、公務員はその点で安心感があります。
給与・福利厚生の安定:給与水準は国や自治体の規定に基づくため、極端に高くも低くもなりにくいです。産休・育休などの制度が整備されている点も、一般的に評価されることが多いです。
社会的信用の高さ:住宅ローンの審査などで有利になりやすいといわれることもあります。
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公務員のデメリットも知っておこう
メリットだけを見て選ぶと、入ってから「思っていたのと違う」と感じることがあります。デメリットも正直に見ておきましょう。
給与の上限:一般的に、民間企業のトップ層と比べると給与の上限は低めです。「頑張れば頑張っただけ稼げる」という成果主義的な報酬を求める人には物足りなさを感じる場合があります。
年功序列的な文化:成果が給与に反映されにくい傾向があります。若いうちから裁量を持って働きたい人にとっては窮屈に感じることもあるようです。
異動・転勤:特に国家総合職は省庁をまたいだ異動が多く、生活拠点が変わることもあります。自治体によっては広域異動がある場合もあります。
副業や政治活動などの制約:公務員には法律上の制限があり、副業や投資に関して民間と比べて制約が多い場合があります。
前例主義になりやすい文化:組織の規模が大きいため、新しい取り組みを進めるのに時間がかかることがあります。自分のアイデアをすぐに形にしたい人には向き不向きがあるかもしれません。
ただし、これらは職種・自治体・部署によって大きく差があります。「公務員は安定だから選ぶ」ではなく、「この仕事の内容に自分は興味を持てるか」を一緒に考えることが大切です。

【予習フレーム】公務員も「働き方の一つ」として比べてみよう
大学生になると、就職活動の中で「民間企業か公務員か」という選択を本格的に考える機会が来ます。そのとき重要になるのが、「成果主義か年功序列か」「安定か挑戦か」「地域密着か全国・海外か」という軸で自分の価値観と照らし合わせる力です。
高校生の今の段階では、「公務員って何となく安定そう」で止まるのではなく、「どんな仕事をするのか」「どんな生き方に向いているのか」を少し具体的にイメージしておくだけで、大学での学び方や課外活動の選び方も変わってきます。
働き方の選択肢がいかに多様かを知りたい人は、働き方の多様化も参考にしてみてください。公務員と民間を比べる視点が広がります。
「安定だけで選ぶと後悔することも」―進路選びの心構え
公務員を目指す理由として「安定しているから」を挙げる人は多いです。もちろんそれは立派な理由の一つです。でも同時に、「安定」の中身は人によって感じ方が全く違います。ある人にとっては「毎月決まった給与がもらえること」が安定でも、別の人にとっては「自分の成果が評価されないことへの不満」が大きくなることもあります。
一方で、「住民の役に立ちたい」「地域の課題を解決したい」「特定の専門分野で社会に貢献したい」というやりがいや目的意識から公務員を選んでいる人は、長く生き生きと働いているケースも多くあります。
あなたは今、公務員という言葉を聞いたとき、どんな仕事のシーンが浮かびますか?役所の窓口?警察官?学校の先生?そのイメージが、自分の「やりたいこと」の手がかりになることもあります。
すすき野・あざみ野エリアの高校生が進路を考えるために
公務員という進路は、「安定」の一言で語られがちですが、実際には国家・地方・総合職・一般職・専門職・公安職など、種類ごとに仕事の中身もライフスタイルも大きく異なります。メリットもデメリットも正直に知ったうえで、「自分がどんな働き方をしたいか」という視点で選ぶことが、後悔のない進路選択につながります。
MySTEPでは、勉強の相談だけでなく、進路や将来のイメージについても高校生と一緒に考える場面を大切にしています。「やりたいことがまだわからない」という段階でも、こうして業界や職種の全体像を少しずつ知っていくことが、将来の選択肢を広げる第一歩になります。焦らず、自分のペースで進路を探していきましょう。
海外で働く・グローバルに活躍する仕事——外交官から現地就職まで
海外で働くルートは「日本企業の駐在」「現地就職」「国際機関・外交官」など複数あります。英語力だけでない、それぞれに必要な準備を整理します。
「将来は海外で働いてみたい」「外交官って、どうしたらなれるの?」「国連で働くには何が必要?」——そんなことを考えたことがある高校生は、意外と多いのではないでしょうか。
「海外で働く」という言葉には、外交官・国連職員・商社マン・NGOスタッフ・日本語教師など、じつに多様なルートが含まれています。それぞれ必要な学歴・語学力・専門性がまったく異なります。今回は、グローバルなキャリアの地図を整理しながら、「高校生の今、何を考えておくと得か」を一緒に見ていきましょう。

「海外で働く」は一種類じゃない:5つの大きなルート
まず大前提として、「海外で働く」には大きく分けて次のようなルートがあります。それぞれ「常に海外にいる」か「国内と往復しながら働く」かも異なります。
- 公務員ルート:外交官(外務省)など国家公務員として海外赴任
- 国際機関ルート:国連・UNESCO・WHO等の国際機関職員
- 民間企業ルート:商社・メーカー・金融などの海外駐在
- ボランティア・協力ルート:JICA海外協力隊など
- 教育ルート:海外での日本語教師など
「どれが一番いいか」という答えはありません。自分が何をしたいか、どんな形で社会に関わりたいかによって、向いているルートは変わります。やりたいことがまだ決まっていなくても大丈夫。まずは「こんな世界があるんだ」と知ることが第一歩です。

外交官になるには:2つのルートを知っておこう
外交官といえば「日本を代表して外国と交渉する仕事」というイメージがあると思います。外務省に入るルートは、大きく2つあります。
① 国家公務員総合職試験からのルート(キャリア外交官)
いわゆる「キャリア外交官」と呼ばれる幹部候補のルートです。国家公務員総合職試験に合格したうえで外務省に採用されます。法律・経済・国際関係など幅広い知識が問われ、大学院卒で受験する人も多い傾向があります。将来的に大使や外務省幹部を目指すルートで、採用後に語学研修を経て海外赴任します。
② 外務省専門職員採用試験のルート(語学の専門家)
こちらは語学を武器にした専門家ルートです。試験科目には憲法・国際法・経済学に加え、外国語試験があります。アラビア語・スワヒリ語・ヒンディー語など、希少言語を含む多様な言語が対象になっており、特定の地域・言語のスペシャリストとして活躍します。総合職ほど広く知られていませんが、現場で非常に重要な役割を担うルートです。
どちらのルートも、大学での学びが直接つながります。高校生の今は「どんな分野に興味があるか」を意識しながら、文系・理系の選択や大学選びを考えてみてください。

国連・国際機関で働くには:修士号と実務経験が目安
国連職員や国際機関のスタッフは、「世界の課題を解決する仕事」として多くの人が憧れるキャリアです。ただし、入口はかなり高い壁があることも知っておきましょう。
一般に、専門職ポストに就くためには関連分野の修士号以上の学歴、英語(場合によってはフランス語等の国連公用語)の高い運用能力、そして実務経験が求められる傾向があります。
入口には主に3つのルートがあります(いずれも詳細は各機関・年度で要確認)。
- 空席公告への応募:各機関のウェブサイトに掲載される求人に直接応募する
- 国連ヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP):国連が若手人材向けに実施する競争試験。日本からも受験できます
- 外務省JPO制度(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー):外務省が若手日本人を国際機関に派遣する制度。国際機関でのキャリアを積むための登竜門的な位置づけ
「大学を卒業してすぐ国連職員に」というのは現実的には難しく、大学院・実務経験を経て挑戦するのが一般的なルートです。だからこそ、海外大学・留学という選択肢を高校生のうちから視野に入れておくと、将来の選択肢が広がります。

JICAと海外協力隊:「現場」で世界と関わる
JICA(国際協力機構)は、日本の政府開発援助(ODA)を実施する機関です。大きく2つの関わり方があります。
JICA海外協力隊(ボランティア)
途上国で自分の技術や知識を活かして活動するボランティアプログラムです。期間は原則2年間で、農業・教育・医療・IT・スポーツなど多様な職種があります。年齢の幅も比較的広く、大学卒業後すぐに参加する人もいれば、社会人経験を積んでから参加する人もいます。「常に海外」の形で働くことになります。
JICA職員(正規採用)
JICA本体の正規職員として採用されるルートです。高倍率の選考を突破する必要があり、語学力・専門性・国際感覚が重視されます。

商社・メーカーの海外駐在:民間企業からのグローバルキャリア
「海外で働く」ことを民間企業のビジネスパーソンとして実現するルートも広く存在します。総合商社では、社員のうちおおむね2〜3割程度が海外駐在している傾向があると言われています(企業・時期によって変動します)。メーカーでも海外拠点への赴任があります。
「常に海外」というより「数年単位で海外拠点に赴任し、国内と往復しながらキャリアを積む」イメージが一般的です。語学力はもちろん、ビジネスの専門知識・交渉力・文化への適応力が求められます。
語学については、語学は本当に大事?という視点でも改めて考えてみてください。AI翻訳が進む時代でも、交渉・信頼構築・文化理解の場面では人間の語学力がやはり重要です。

日本語教師:言語を通じて文化をつなぐ
海外で日本語を教える日本語教師も、グローバルなキャリアの一つです。2024年から「登録日本語教員」という国家資格が創設され、資格のある日本語教師の需要が高まっています(詳細は文化庁等の最新情報を確認してください)。語学が好き・異文化が好き・人と関わるのが好きという人に向いているキャリアです。

どのルートにも共通して必要な「3つの力」
ルートによって求められるものは違いますが、どのグローバルキャリアにも共通して重要な力があります。
① 語学力(英語+α)
英語は最低限のベースです。国際機関では英語+フランス語など複数言語が有利になります。外務省専門職のように特定言語のスペシャリストを目指すルートもあります。「英語ができればOK」ではなく、キャリアによって求められる言語・レベルが異なります。
② 専門性・学歴
国際機関は修士号+実務経験が目安、協力隊や民間は学士中心といったように、道によって求められる専門性の深さが異なります。「何の専門家として世界で働くか」を意識することが大切です。
③ 多様性・異文化理解
価値観の違いを受け入れ、異なる文化的背景を持つ人々と協力する力。これはスキルとして磨くものであり、今から意識的に「違い」に触れていくことが練習になります。

高校生の今から始められる「グローバルキャリアへの予習」
「でも自分はまだ高校生だし…」と思った人へ。大丈夫です。今から考えておくと確実に得することがあります。
英語を「使える」レベルに育てる意識を持つ
高校英語のうちに、読む・聞く・書く・話すの4技能をバランスよく鍛える意識を持ちましょう。大学入試の共通テストでもリスニングの比重が上がっており、「試験英語」と「使える英語」は今や近づいています。当塾でも、英語の読解だけでなく表現力を意識した学習をサポートするようにしています。
「何が好きか・何が得意か」を言語化してみる
外交・経済・環境・教育・医療……グローバルな仕事は必ず「何かの専門分野」と結びついています。「語学が好き」だけでは方向性が決まりません。「語学×当塾」の組み合わせを考えてみましょう。
ニュースや国際問題に興味を持つ
SDGs・紛争・感染症・気候変動など、世界のニュースを意識的に見るだけで、将来の進路とつながる「問い」が生まれてきます。社会科の授業も「テストのため」だけでなく、世界を読む練習として活かしてみてください。
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すすき野・あざみ野の高校生へ:進路の「地図」を広げるために
「海外で働く」という夢は、外交官・国連・JICA・商社・日本語教師など、驚くほど多くのルートにつながっています。今の時点でどれが向いているかわからなくて当然です。大切なのは、「こういう世界がある」と知っておくこと、そして語学と専門性という2本柱を今から少しずつ育てていくことです。
進路を決めるのは高3になってからでも遅くないケースもありますが、「何となく海外に関わりたい」という感覚は、今から大切にしてください。その感覚が、大学選び・学部選び・留学の決断につながっていきます。MySTEPのスタッフも、進路の方向性を一緒に考える場面で「どんな世界に興味があるか」を大切に聞くようにしています。答えが出なくても、問い続けることに意味があります。
あなたの「海外で働く」イメージは、どのルートに近そうですか?
働き方の多様化——起業・フリーランス・副業・転職前提の時代
「ひとつの会社に定年まで」が当たり前ではなくなり、起業・フリーランス・副業・転職を組み合わせる働き方が広がっています。それぞれの実像とリスクを知っておきましょう。
「将来、何になりたい?」と聞かれたとき、「まだよくわからない……」と感じる高校生はとても多いと思います。でも、そのモヤモヤには理由があります。今の社会では、働き方そのものが急速に広がっていて、「どんな仕事に就くか」だけでなく「どんな形で働くか」まで選べる時代になってきているからです。
今回は、就職・進路を考えはじめた高校生に向けて、現代の「働き方の多様化」をわかりやすく整理します。今すぐ何かを決めなくていい。ただ、知っておくだけで、進路の見え方がぐっと変わります。
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かつての「一本道」はどこへ? 働き方の地図が広がった
少し前の世代では、働き方のイメージはシンプルでした。「新卒で会社に入り、定年まで勤め上げる」という一本道です。新卒一括採用・終身雇用・年功序列というセットが当たり前とされていました。
しかし今は違います。一般に、多くの企業が「通年採用」(一年中、必要なタイミングで人を採用する方法)や「ジョブ型採用」(特定の職務スキルを持つ人を採用する方法)を取り入れ始めています。転職も以前より一般的になり、「一つの会社に一生いる前提」ではなくなりつつあります。また、リモートワークの普及で、働く場所の柔軟性も増しました。
この変化は、脅威ではなく「選択肢が増えた」と捉えることもできます。今の高校生が社会に出るころには、複数の働き方を組み合わせたり、途中で切り替えたりするのが普通になっているかもしれません。
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主な「働き方」を整理してみよう
働き方には、大きく分けて「会社に属す形」と「自分で動く形」があります。それぞれの特徴を見てみましょう。
会社に属す形:正社員・契約社員・派遣・アルバイト
最も身近なのが、会社に雇われる形です。正社員は雇用が比較的安定していて、社会保険や退職金といった「守られる仕組み」が整っています。一方、働く時間や仕事の内容を自分だけでは決めにくいという面もあります。契約社員・派遣社員は雇用期間が決まっているケースが多く、柔軟に働きやすい半面、安定性は正社員より低くなりやすい傾向があります。
フリーランス(個人で仕事を請ける)
フリーランスとは、会社に属さず、個人として企業や個人からの仕事を請け負う働き方です。デザイナー、エンジニア、ライター、カメラマンなど、さまざまな職種でフリーランスとして活動する人が増えています。
自由度が高く、仕事の種類や量を自分でコントロールしやすいのが魅力です。ただし、収入が不安定になることもあり、社会保険の手続きや確定申告なども自分でやる必要があります。「自由」と「自己責任」がセットになっている働き方と言えます。
起業(自分で事業を始める)
起業とは、自分でビジネスを立ち上げることです。お店を開く、サービスを作る、会社を設立する……規模はさまざまです。うまくいけば収入の上限がなく、自分のアイデアを社会に直接届けられます。しかし、軌道に乗るまでに時間とリスクが伴うことも多く、経営・財務・法律など幅広い知識が必要になります。
副業(本業を持ちながら別の仕事もする)
副業は、メインの仕事をしながら、別の仕事や活動でも収入を得る形です。近年は、副業を認める企業が増えてきた傾向があります。スキルの幅を広げる・収入を補う・将来の独立に備えるなど、さまざまな目的で活用されています。いきなりフリーランスや起業に踏み出す前に、「副業として試してみる」という選択もあります。
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「どれが正解」ではない。自分に合う形を選ぶ時代へ
ここで強調しておきたいのは、「フリーランスや起業が偉い」「会社員は古い」ということではまったくないということです。安定した環境で長く力を発揮したい人には、正社員という選択肢が今も十分に魅力的です。一方で、複数のプロジェクトを掛け持ちしながら自分のペースで働きたい人には、フリーランスが向いているかもしれません。
大切なのは、「一種類しか選択肢がない」と思い込まないことです。転職も、副業も、起業も、フリーランスも——どれもリアルな選択肢として存在しています。あなたはどんな働き方が自分に合っていると思いますか?今すぐ答えが出なくても、考えてみること自体に意味があります。
会社という仕組みがどのように利益を生み出し、そこから給料が生まれるのかを知っておくと、働き方を比べるときの視点が一つ増えます。会社の利益と給料の仕組みの記事も、ぜひ合わせて読んでみてください。
「複数の働き方を経験する」が普通になるかもしれない
今の高校生が社会に出る10年後・20年後、「一つの会社でずっと」という形は確かに残るでしょう。しかしそれと並んで、「正社員として働きながら副業もする」「数年ごとに転職してキャリアを積む」「会社員からフリーランスに切り替える」といった経歴が、一般的な選択肢として広く認められていく可能性が高い傾向にあります。
つまり、進路を「一度決めたら終わり」と捉える必要はない、ということです。大学に入ってから考え直してもいい。就職してから方向を変えてもいい。もちろん、早い段階でじっくり考えておく価値も大いにあります。ただ、「今すぐ完璧な答えを出さなければ」というプレッシャーは、少し手放してもいいかもしれません。
どの働き方でも共通して必要な「学び続ける力」
正社員でも、フリーランスでも、起業家でも、共通して求められることがあります。それは「自分で学び続ける力」と「相手に価値を届ける力」です。
AIやテクノロジーの進化によって、仕事の中身は今後も変わり続けます。特定のスキルだけを持っていても、その仕事がなくなることもあり得ます。一方で、「新しいことを学べる人」「状況に応じて考えて動ける人」は、どんな働き方をしていても力を発揮しやすいと言われています。
これは受験勉強と無関係ではありません。「先生に言われたことだけやる」のではなく、「なぜこの問題はこう解くのか」「どこが自分の弱点か」を自分で考えながら学ぶ習慣——それ自体が、社会に出てからも使える「自律して学ぶ力」につながっています。これから必要な力についても、合わせて読んでみると視野が広がるはずです。
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あざみ野・すすき野エリアの高校生へ——進路の選択肢を広げるために今できること
今回の記事で伝えたかったのは、「すぐに起業しよう」「フリーランスを目指せ」ということでは全くありません。ただ一つ、「働き方は選べるし、変えられる」と知っておくだけで、進路について考えるときの気持ちが少し軽くなります。
今できる具体的なことを、いくつか挙げておきます。
一つ目は、「どんな働き方をしている大人が周りにいるか」を少し意識してみることです。家族・親戚・近所の人が正社員なのか、自営なのか、副業をしているのか——案外バラエティがあるはずです。そこから話を聞いてみるだけでも、リアルなイメージが湧いてきます。
二つ目は、志望する大学・学部を考えるとき「その先にどんな働き方のルートがあるか」をセットで調べてみることです。同じ学部でも、就職・フリーランス・起業・研究職など、卒業後の選択肢は多様です。
三つ目は、受験勉強そのものを「自分で考えて進める練習」として意識することです。計画を立て、振り返り、修正する——このサイクルは、どんな働き方でも必ず使うスキルです。当塾でも、生徒が「なぜそう解くのか」を自分の言葉で説明できるようになることを大切にしています。それは単なるテスト対策にとどまらず、「自分で考える力」を育てることにつながると考えているからです。
「働き方の多様化」は、決して他人事ではありません。今の高校生が社会に出るころには、選択肢はさらに広がっているはずです。だからこそ、「自分はどう生きたいか」を少しずつ考え始める今が、ちょうどいいタイミングです。
AIで変わる・消える・生まれる仕事——これから必要になる力
AIの普及で「変わる仕事・減る仕事・新しく生まれる仕事」がはっきり分かれ始めています。どんな仕事を選んでも必要になる力を、この章で整理します。
「AIが普及したら、将来の仕事がなくなるかもしれない」——そんな不安を感じている高校生は多いのではないでしょうか。進路を考える時期に、こういうニュースが飛び込んでくると、何を目指せばいいのか分からなくなりますよね。
今回は、世界や日本の公的機関が発表しているデータをもとに、「AIで仕事はどう変わるのか」「これからの時代に本当に必要な力は何か」を整理します。不安をあおるのではなく、今の高校生活や勉強が将来に直結しているという視点で読んでもらえると嬉しいです。
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AIで仕事はどう変わる?——「なくなる」より「変わる」が正確
まず、よく耳にする「AIで仕事がなくなる」という話について整理しましょう。
世界経済フォーラム(WEF)が2025年に発表した「Future of Jobs Report 2025」では、2030年に向けて一部の仕事は減少する一方、新しい仕事も生まれると予測されています。「仕事が消える」というより、「仕事の中身が変わる」という表現のほうが実態に近いようです。
AIが得意なのは、決まったルールに沿って繰り返す「定型的な作業」です。大量のデータを整理する、決まった書式の文書をつくる、パターンを認識して分類する——こういった作業はAIに任せられる部分が増えていきます。
一方で、同レポートが今後需要が伸びるスキルとして挙げているのは、「AI・ビッグデータ」「サイバーセキュリティ」「技術リテラシー」といった技術系の力だけではありません。「創造的思考」「好奇心と生涯学習」といった、いわゆる"人間らしい力"も引き続き重要とされています。
つまり、AIを使いこなせる人間が求められると同時に、「AIには任せられない部分」——問いを立てる、意味を解釈する、人と協力して新しいものをつくる——こういった力を持つ人が価値を発揮する時代になる、ということです。
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世界・日本・国際機関が共通して言っていること
「どの機関がどんなことを言っているか」を見てみると、実は共通するメッセージがあります。
WEF「Future of Jobs Report 2025」が重視するスキル
先ほど紹介したWEFのレポートでは、特に「コアスキル」として「分析的思考」「レジリエンス(回復力)・柔軟性」「リーダーシップ・社会的影響力」が挙げられています。技術が変化し続ける社会では、一度学んだ知識だけでは通用しない。変化に対応しながら学び続ける力、そして周囲と協力して動ける力が求められる、ということです。
経済産業省「社会人基礎力」
日本の経済産業省が提唱する「社会人基礎力」も参考になります。これは職場や社会で活躍するための力を3つに整理したものです。
①前に踏み出す力——主体性・働きかけ力・実行力。自分から動く力。
②考え抜く力——課題発見力・計画力・創造力。答えのない問いに向き合う力。
③チームで働く力——発信力・傾聴力・柔軟性・状況把握・ストレスコントロールなど。
「答えを出す作業」はAIが得意ですが、「問いを立てる」「チームをまとめる」「状況を読んで動く」といった力は、AIでは代替しにくい領域です。
OECD「ラーニング・コンパス2030」
国際的な教育機関OECDは、2030年に向けた学びの方向性として「エージェンシー」という概念を中心に置いています。難しい言葉に聞こえますが、要は「自分で考え、主体的に行動し、結果に責任を持つ力」です。さらに、「新しい価値を創る力」「対立や葛藤に折り合いをつける力」「責任ある行動をとる力」も強調されています。
3つの機関の主張を並べてみると、共通するキーワードが浮かび上がります——主体性・思考力・創造性・協働・学び続ける力。これがAI時代に求められる力の核心です。

「今の勉強・部活・探究」がAI時代の武器になる理由
ここで、高校生のみなさんに伝えたいことがあります。
上に挙げた力——主体性、思考力、創造性、協働、粘り強さ——は、実は今の高校生活の中で日々鍛えられているものです。
たとえば、定期テストの勉強を考えてみましょう。単に答えを暗記するだけでなく、「なぜこの公式が成り立つのか」「この出来事はどんな背景から起きたのか」と考えながら学ぶこと。これは「分析的思考」の練習そのものです。
小論文や探究活動で「自分の意見を根拠とともに伝える」練習をすること。これは「発信力」と「創造力」の訓練です。

部活動で仲間とぶつかりながらも目標に向かう経験。うまくいかなかったときに立て直す経験。これがまさに「レジリエンス(回復力)」や「チームで働く力」につながります。
2021年の学習指導要領改訂以降、記述・論述問題が増え、「思考力・判断力・表現力」を問う問題が全科目で重視されるようになっています。これは偶然ではなく、「これからの社会で必要な力を育てる」という方向性と一致しています。
当塾でも、問題の答えを出すだけでなく「なぜそうなるのか」を言語化する習慣を大切にするよう心がけています。それがAI時代に本当に意味を持つ力につながると考えているからです。
【予習フレーム】社会に出るころには、AIは「当たり前のツール」になっている
今の高校生が社会に出る頃——おそらく5〜10年後——には、AIは特別な技術ではなく、スマートフォンのように「使えて当たり前」のツールになっている可能性が高いです。
職場では、「AIに何を任せるか」「AIの出した結果をどう判断・活用するか」を自分で考える場面が増えるでしょう。言い換えると、「AIを使う側の人間として、どんな価値を出せるか」が問われる時代になります。
だからこそ、今のうちに意識してほしいことがあります。
AIに任せる部分:情報の収集・整理、計算、パターンの確認など定型的な作業
自分が伸ばす力:問いを立てる、意味を解釈する、人と協力して動く、新しいアイデアを生む、粘り強くやり続ける
この「棲み分け」を意識しておくだけで、進路選択の視野がぐっと広がります。たとえばAIを活用する職業が増えている分野(情報・データ・医療・教育・クリエイティブ系など)に興味がある方は、成長産業とGAFAMの記事もあわせて読んでみてください。働き方の変化そのものが気になる方は働き方の多様化も参考になります。
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具体的に今からできること——「考える・伝える・やり抜く」練習を
「将来のためにAI時代の力を身につける」と言われても、高校生には少し遠く感じるかもしれません。でも、特別なことをする必要はありません。今の勉強・活動の中で、少し意識を変えるだけで十分です。
①答えを出したあと「なぜ?」を1回加える
数学の問題が解けたとき、英語の文法を覚えたとき、「なぜそうなるのか」を自分の言葉で説明してみる。これが「分析的思考」の練習になります。
②自分の意見を言葉にする機会を増やす
授業の感想、ニュースへの疑問、部活の課題——何でもいいので「自分はこう思う、なぜならこうだから」と書いたり話したりする習慣をつけましょう。小論文・面接・総合型選抜にも直結します。
③うまくいかなかったことを振り返る
模試の結果、部活の失敗、人間関係のすれ違い——うまくいかなかった経験を「なぜそうなったか」「次はどうするか」と振り返るプロセスが、レジリエンス(回復力)を育てます。
④「調べるだけ」で終わらせない
AIや検索エンジンで情報を集めるのは簡単になりました。でも、「集めた情報をどう使うか」「何が本当に大事か」を判断するのは人間の仕事です。調べたことを自分なりに整理して、誰かに伝える練習を意識してみてください。
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すすき野・あざみ野の高校生が「AI時代の力」を今から育てるために
今回の記事をまとめると、AIで仕事は「なくなる」というより「変わる」。そして世界・日本・国際機関が共通して求めているのは、主体性・思考力・創造性・協働・学び続ける力です。
これらは、今の高校生活——授業で考えること、部活でぶつかること、探究で問いを立てること——の中に確かに宿っています。「暗記して点を取るだけ」の勉強から、「考えて・伝えて・やり抜く」学びへ少しずつシフトしていくことが、AI時代に本当に使える力につながります。
「やりたいことがまだ決まっていない」という高校生も、焦る必要はありません。進路の方向性は変わっても、主体的に考え・動き・学び続ける力はどんな道にも共通する土台になります。今日から少しだけ、「答え」より「問い」を意識してみてください。
SDGs・社会課題を仕事にするには?
SDGs(持続可能な開発目標)に関わる仕事は、NPOだけでなく一般企業・行政・研究職まで広がっています。「社会の役に立ちたい」を仕事につなげる道筋を整理します。
「将来は社会の役に立つ仕事がしたい」「環境問題や貧困問題を解決するような仕事に就きたい」——そんな思いを持っている高校生は、年々増えている印象があります。探究学習でSDGsをテーマに選んだり、ニュースで気候変動の話題を見て「自分にも何かできることがあるのでは」と感じたりしたことはないでしょうか。
でも「社会課題を仕事にする」と聞くと、「NGOや NPOで働くしかないのかな」「それって安定しているの?」と少し不安になる人も多いかもしれません。この記事では、社会課題への関わり方は実は幅広く、しかも複数の「立場」があることを整理しながら、高校生の今から進路をどう考えていくかを一緒に考えてみたいと思います。
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SDGsって何だっけ?——まず入口を確認しよう
SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)は、2015年に国連で採択された、2030年までに達成を目指す17の目標のことです。「誰一人取り残さない」という理念を掲げ、貧困・気候変動・教育・ジェンダー平等など、地球規模のさまざまな課題を網羅しています。
重要なポイントは、SDGsは「途上国だけの問題」ではなく、日本を含む先進国も対象だということ。たとえば、格差や孤立、少子高齢化、食品ロス——これらはすべてSDGsと結びついていて、あなたの身近な生活にも関わっています。
「社会課題を解決したい」という気持ちがあるなら、まずは「どの課題が一番気になるか」を自分の言葉で言えるようにしておくことが、進路を考える最初の一歩になります。
社会課題への関わり方は「NPOだけ」じゃない——6つの立場
「社会の役に立つ仕事=NPO・ボランティア」というイメージを持っている人は多いですが、実際には社会課題に関わる「立場」は多様です。以下に代表的な6つを整理してみます。

① 一般企業(サステナビリティ・ESG部門など)
近年、多くの企業が「ESG(環境・社会・ガバナンス)」という枠組みを経営の柱に据えるようになっています。ESGとは、Environment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)の頭文字で、投資家や社会がその企業の活動を評価する際の基準にもなっています。企業の中にはサステナビリティ推進部門やCSR(企業の社会的責任)部門が設置されている場合もありますが、それだけではなく、営業・製造・人事・開発といった「ふつうの部署」でも、脱炭素・SDGsへの対応が日常業務に組み込まれるケースが増えています。つまり、「社会課題に関わりたいから企業には就職したくない」と考える必要はないわけです。
② ソーシャルビジネス・社会起業
「ビジネスの手法で社会課題を解決する」という考え方で生まれた仕事のスタイルです。一般に、ソーシャルビジネスは「社会性・事業性・革新性」の三つを同時に追求するものとされています。収益を上げながら継続的に社会問題に取り組む点が特徴で、行政やNPOとは異なるアプローチです。起業というと「ハードルが高い」と感じるかもしれませんが、大学生や若手社会人が立ち上げる事例も増えています。
③ NPO・NGO
「非営利」というのは「利益を分配しない」という意味であって、「お金をもらわずに働く」という意味ではありません。NPO・NGOでも有給スタッフとしてキャリアを積む道は存在します。ただし、組織の財政規模や安定性は団体によって大きく異なります。具体的な団体の情報を調べるときは、公式サイトや内閣府のNPO法人ポータルサイトなどを参考にすると実態が見えてきます。
④ 行政・公務員
国や地方自治体も、環境政策・福祉・教育・まちづくりなどで社会課題に直接関わります。「安定」だけでなく「政策立案や制度設計を通じて社会を変える」という視点で公務員を志望する人も少なくありません。
⑤ 国際協力
JICA(国際協力機構)の海外協力隊のように、発展途上国での現地支援を行う道もあります。語学力や専門スキルを活かすことができ、大学卒業後すぐに応募できるプログラムもあります。
⑥ 研究
大学院や研究機関で、社会課題を学術的に分析・解決する道もあります。エネルギー・医療・農業・都市設計など、理系・文系を問わず研究の切り口は多岐にわたります。
このように、「社会課題を仕事にする」という言葉の中には、非常に多様なキャリアパスが存在しています。どれが「正解」ということはなく、自分がどの立場で、どんな形で関わりたいかを考えることが大切です。
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【予習フレーム】大学・社会に出たとき、何が求められるか
社会に出ると、「GX(グリーントランスフォーメーション)人材」という言葉をよく耳にするようになるかもしれません。2020年に日本政府が「2050年カーボンニュートラル」を宣言したことで、脱炭素・再生可能エネルギーに関わる仕事の需要が高まっています。企業の採用市場でも、「ESGや環境への知識・意識がある学生」への関心が増している傾向があります。
だからといって、今すぐ専門知識が必要というわけではありません。大学では「社会課題をどう分析し、解決策を設計するか」を学ぶ機会が多くあります。経済学部・社会学部・政策学部・環境系の学部だけでなく、理工学部や農学部、教育学部でも社会課題と結びついた学問を探究できます。大学に入ってから「この学問が社会課題とこんなふうに結びつくんだ」と気づく経験は珍しくありません。
だからこそ、高校生の今のうちに「どの課題が気になるか」「どんな立場で関わりたいか」を"言語化"しておくことが、大学選びや学部選びの軸になっていきます。
進路を考えるうえでは、社会の仕組みそのものを知っておくことも重要です。たとえば、会社はどう利益を出すかを知っておくと、企業がなぜSDGsに取り組むのか、ソーシャルビジネスが何故難しいのかが具体的に見えてきます。

高校生の今からできること——探究学習を「進路の地図」にする
高校の授業では「総合的な探究の時間」が設けられています。この探究学習の流れは、一般に「課題設定→情報収集→分析→まとめ・発表」という段階で進みます。実はこのプロセス自体が、社会課題を仕事にするときの思考と非常に近いのです。
探究を進めながら「進路の軸」を見つけるための、3ステップのフレームを紹介します。

ステップ1:「気になる社会課題」を絞り込む
SDGsの17目標を眺めてみてください。環境・貧困・教育・健康・まちづくり……どれかに「引っかかり」を感じますか?ニュース・映画・本・身近な体験など、どこから来てもいい。「なんとなく気になる」で十分です。
ステップ2:「どの立場で関わるか」を考える
同じ「気候変動」という課題に対しても、企業のサステナビリティ部門で働く人、研究者として分析する人、NPOで啓発活動をする人、行政で政策を立案する人——それぞれがいます。前章の6つの立場を参考に、「自分はどこで関わりたいか」を考えてみましょう。まだ決まらなくていいです。「気になる立場が2〜3ある」くらいが、むしろ高校生にとっては健全です。
ステップ3:「そのためにどんな力が必要か」を調べる
関心ある課題と立場が見えてきたら、「そこで働いている人はどんなことを学んできたか」をネットや本で調べてみましょう。大学のオープンキャンパスや講演会で話を聞くのも有効です。そこで初めて「この学部・この分野を学ぶといい」という情報が具体的になってきます。
また、仕事にする以外の関わり方——消費者として環境に配慮した選択をする、市民として政治参加する、ボランティアとして現場を体験するなど——も大切な経験です。すぐに「職業として」と決め打ちしなくていいことも覚えておいてください。
社会の変化を読む力を養いたい人は、社会の"今"を読むこちらの記事も参考にしてみてください。
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あざみ野・すすき野エリアの高校生へ——「社会課題×進路」を自分の言葉で語れるようになるために
この記事でお伝えしたかったことを整理すると、次の3点です。
ひとつ目は、「社会課題を仕事にする=NPOだけ」ではなく、企業・起業・行政・研究・国際協力など多様な立場があること。ふたつ目は、大学や学部を選ぶ前に、「どの課題が気になるか→どの立場で関わりたいか→そのために何を学ぶか」という段階で考えると、選択肢が整理されやすいこと。そして三つ目は、高校の探究学習は「進路の地図」を描く絶好のチャンスだということです。
「やりたいことがまだはっきりしない」という高校生も、心配しないでください。関心の入口は「なんとなく気になる」で十分です。大切なのは、その「気になる」を放置せず、少しずつ言葉にしていくこと。進路は一度決めたら変えられないものではなく、情報を集めながら更新していくものです。
当塾でも、定期テストや受験対策の合間に「探究のテーマをどう深めるか」「将来やりたいことから逆算して学部を考えるには」といった相談に乗ることがあります。勉強の話だけでなく、こうした進路の「整理」も大切にしながら、高校生一人ひとりの考える力をサポートしていきたいと思っています。
まちづくり・地方創生の仕事——地域を支える仕事の実像
まちづくりの仕事は、公務員・都市計画コンサルタント・建設・不動産・観光・NPOなど多くの業界にまたがります。「地域のために働く」の具体的な選択肢を見ていきます。
「地方創生」「まちづくり」という言葉、ニュースや授業で聞いたことはありますか?なんとなく「田舎を元気にする仕事」というイメージがあるかもしれません。でも実際には、都市で働く人も、農村に移り住む人も、週末だけ関わる人も、それぞれの形で「地域を支える仕事」に携わっています。
この記事では、地方創生・まちづくりに関わる仕事の多様な入口を、高校生にわかるように整理します。「将来は地元や地域に関わる仕事をしたい」と感じている人も、「まだよくわからない」という人も、ぜひ進路を考えるひとつのヒントにしてみてください。
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「地方創生」とはどんな取り組みなのか
日本では少子高齢化と人口減少が進んでいます。特に地方では若者が都市部へ流出し、担い手不足が深刻な課題です。この状況を受けて、国は2014年から「地方創生」という政策に取り組んできました。地方に仕事をつくり、人を呼び、若い世代が地域に定着できる環境を整えることを目指した取り組みです。
ただし、正直に伝えておくと、総務省などの資料を見ると「東京一極集中の流れは依然として続いており、状況は厳しい」という評価が出ています。地方創生は万能薬ではなく、課題も多い。近年は「デジタル田園都市国家構想」として、デジタル技術を活用した地域活性化へと取り組みが進化しています。
大切なのは、人口が増えることだけがゴールではないという視点です。「限られた人と資源で、地域の暮らしと機能をどう維持・再編するか」というテーマが、これからの地方創生の現実的な問いになっています。
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地域に関わる仕事は「一種類」じゃない
「まちづくり=建築の仕事」と思っていませんか?実際には、地域を支える仕事はずっと多層的です。ここでは代表的な関わり方を5つ紹介します。
① 地方公務員としてまちをつくる
市区町村や都道府県の公務員は、まちづくりの最前線にいます。事務職として住民サービスや政策立案を担う人もいれば、技術職として建築・土木・都市計画を担当する人もいます。公共施設の整備や再開発、住民参加型のまちづくり計画など、地域の「かたち」を直接つくる仕事です。
地方公務員は安定性があるとよく言われますが、それ以上に「地元に根ざして長く働ける」という点が、地域貢献を考える人には魅力に映ることが多いようです。公務員としての進路については、公務員という選択肢の記事でも詳しく取り上げています。
② 地域おこし協力隊として現場に飛び込む
「地域おこし協力隊」という制度をご存じですか?都市部に住んでいた人が過疎地域などに住民票を移し、農業や観光、福祉など、地域に必要な活動を行う国の制度です(総務省が推進)。任期はおおむね1〜3年とされています。
活動終了後に地域へ定住する割合は約7割という目安が示されていますが、ミスマッチや生活環境への不適応などの課題も報告されており、事前のリサーチと覚悟が大切とされています。「いきなり移住」ではなく、まずは地域を知ることが大事です。

③ 観光・まちづくり会社(DMO・地域商社)で働く
DMO(観光地域づくり法人)という言葉を聞いたことがあるかもしれません。地域の観光資源を活かして、旅行者と地域をつなぐ組織のことです。自治体と民間の中間的な存在で、マーケティングや企画、情報発信などを通じてまちを盛り上げます。また地域の特産品を販売・流通させる「地域商社」も、まちづくりの担い手のひとつです。
こうした組織で働く人のバックグラウンドは多様で、経営・マーケティング・デザイン・ITなど、さまざまな専門性が求められています。
④ 都市計画コンサルタントという専門職
民間の都市計画コンサルタントは、自治体や民間企業から依頼を受けて、まちの将来計画や再開発の調査・提案を行います。この分野では建築士・技術士・都市プランナー(都市計画の専門資格)などの資格が評価されることが多く、大学での専門的な学びが活きやすい職種です。「設計図を描く」だけでなく、住民参加のワークショップを運営したり、データ分析をもとに政策提言をしたりと、仕事の幅は広いです。

⑤ 「関係人口」として地域に継続的に関わる
「定住」でも「観光客」でもない第三の関わり方として、近年注目されているのが「関係人口」という概念です。ふるさとや気に入った地域に継続的に関わりながら、都市部に住みながらも地域の活動を手伝う、そんなライフスタイルです。
たとえば、週末だけ農作業を手伝いに行く、オンラインで地域のプロジェクトに参加する、など。「移住しないと地域に貢献できない」わけではないのです。これは、地方創生が多様な関わり方を受け入れてきている証拠でもあります。
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進路を考えるときの「予習フレーム」
大学生になると、地域づくりに関わるゼミやフィールドワーク、インターンシップなどを通じて、実際の地域課題に触れる機会が増えます。「地域政策学」「都市工学」「観光学」「農学」「社会学」など、まちづくりに関わる学問領域は一つではありません。文系・理系を問わず入口がある分野でもあります。
社会に出ると、「地方創生の仕事」と一口に言っても、公務員・NPO・民間企業・フリーランスなど、立場もさまざまです。資格や移住が必ず必要なわけではなく、「どんな形で地域に関わりたいか」が問われる世界です。
だから高校生の今のうちにやっておきたいのは、「地域に関わる仕事の種類がこんなにある」という地図を頭の中に描いておくことです。そのうえで、「自分はどんな形で関わりたいのか?」を少しずつ考え始めると、大学選びや学部選びの視野も広がります。
人口減少の背景についてもっと詳しく知りたい人は、社会の"今"を読む(人口減少)もあわせて読んでみてください。
高校生が今できる「地域を知る」具体的アクション
「興味はあるけれど、何から始めればいいかわからない」という人に向けて、今日からできることをいくつか挙げます。
まず、自分が住む地域を「観察」してみましょう。あざみ野・すすき野・たまプラーザ周辺でも、新しい施設ができたり、商店街の様子が変わったり、開発計画が話題になったりすることがあります。「なぜここにこの施設があるのか?」「誰がどうやって決めたのか?」と問いを持つだけで、まちづくりへの感度が磨かれます。
次に、地方創生やまちづくりをテーマにした本・記事・ドキュメンタリーに触れてみてください。難しい専門書でなくていい。地域おこし協力隊の体験記や、DMOの取り組みを紹介した記事などは、中高生にも読みやすいものが多くあります。
また、総合的な探究の時間や自由研究のテーマとして「地域課題」を選ぶのも有効です。データを調べたり、地域の人に話を聞いたりする経験は、後々の志望理由書や面接でも活きてきます。
受験勉強との両立が気になる人もいると思います。地域・社会系の話題は、現代文の読解や社会科の学習と直結することも多く、「興味のあるテーマ」として読み込むことで、読解力や記述力が自然と鍛えられます。当塾でも、生徒が「探究テーマに合わせた素材文」を読む練習を取り入れることがあり、社会への関心が学力向上につながるケースを見てきました。
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あざみ野・すすき野周辺から「地域を考える」進路へ
地方創生・まちづくりの仕事は、「建築しかない」「移住しなければならない」「特別な才能が必要」といった思い込みとは少し違う世界です。公務員・協力隊・観光・専門コンサル・関係人口——それぞれの形で地域に関わる道があり、文系でも理系でも、資格があっても今はなくても、入口は複数あります。
「正解は一つではない」というのが、この分野のリアルな姿です。大切なのは、まず地域や社会への関心を持ち続けること。そしてその関心を、大学での学びや将来のキャリアへとつなぐための「予習」を高校生の今から始めることです。
あなた自身は、「地域に関わる」としたら、どんな形が自分らしいと思いますか?すぐに答えが出なくていい。でも、その問いを持ち続けることが、進路を考える力になっていきます。
農林水産・食料・環境を支える仕事
食と環境を支える仕事は、生産者だけでなく、食品メーカー・研究・行政・環境ビジネスまで広がっています。進学ルート(農学部系など)とあわせて整理します。
「農業や漁業に興味はあるけど、将来の仕事としてどう考えればいいんだろう?」「食や環境に関心があるけど、どんな学部・職種があるのかよくわからない」——そんなふうに感じている高校生は少なくないと思います。
今回は、農林水産業・食料・環境エネルギーという分野を軸に、「食と自然を支える仕事」の今と、多様な関わり方を整理してみます。「農業=きつい・古い」という先入観を一度横に置いて、読んでみてください。

農林水産業のイメージ、アップデートできていますか?
農業・林業・水産業は「一次産業」と呼ばれ、社会科の教科書に登場する身近な言葉です。ただ、「泥だらけで体力仕事」「後継者不足で大変そう」というイメージが先行しがちではないでしょうか。実際の現場は、ここ数年で大きく変わりつつあります。
農業の今——スマート農業と6次産業化
農林水産省が推進するスマート農業では、自動走行トラクター・ドローンによる農薬散布・センサーとデータを組み合わせた生育管理など、ICT・ロボット技術を活用した省力・高品質生産が広がっています。「農業×テクノロジー」という組み合わせが、エンジニアやデータサイエンス志望の高校生にとっても無関係ではない分野になってきました。
また、6次産業化という考え方も注目されています。これは「1次産業(生産)×2次産業(加工)×3次産業(販売・サービス)」を掛け合わせ、農家や漁師が自ら加工・販売まで手がけることで付加価値を高める取り組みです。経営・マーケティング・ブランディングの視点も求められるため、文系的な関心を持つ人にとっても入口になります。
新規就農を支援する制度(一般に原則49歳以下を対象とした資金支援等・詳細は農林水産省の最新情報を確認してください)も整備されており、若い世代が入りやすい環境は少しずつ広がっています。

林業の今——森林の「多面的機能」を守る仕事
林業というと「木を切る仕事」とだけ捉えられがちですが、森林にはCO2吸収・生物多様性の保全・土砂災害防止・水源の涵養・木材供給といった多面的な機能があります(林野庁の整理より)。「使い・植え・育てる」という循環をいかに持続させるかが現代林業の大きな課題です。
高性能林業機械の導入で生産性は向上しており、就業者全体は減少・高齢化が続く一方、若年就業者の割合は上昇傾向にあります(林野庁・目安)。環境保全や地域資源の活用に関心がある人にとって、林業は意外と多様な入口がある分野です。
水産業の今——資源管理とスマート化
水産庁が推進するTAC制度(漁獲可能量制度)は、科学的な資源評価にもとづいて魚を獲りすぎないよう管理する仕組みです。乱獲を防ぎながら持続可能な漁業を実現するために、生物学・統計・データ解析の専門知識が求められます。また、ICTを活用した給餌管理や水中ドローンによる養殖管理など、スマート水産業の動きも進んでいます。こちらも就業者数は減少傾向ですが、テクノロジーと融合した新しい形の仕事が生まれています。
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「食料自給率」と「食料安全保障」——高校生が知っておきたい背景
2025年に農林水産省が公表した2024年度の食料自給率(目安)は、カロリーベースで38%・生産額ベースで64%です。計算方法が異なるためこの2つの数字は大きく違いますが、どちらも日本の食料をめぐる状況を考えるうえで重要な指標です。
2024年には「食料・農業・農村基本法」が約25年ぶりに改正され、食料安全保障の強化が明確な政策目標として位置づけられました。国内生産を安定させることの重要性が、改めて社会的な議題になっています。
あなたが毎日食べているものが、国内でどれだけ作られているか——考えたことはありますか? この問いは、農業・流通・国際関係・政策など多くの分野につながっています。
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環境・再生可能エネルギーも「食と自然を支える仕事」の仲間
農林水産業と少し視野を広げると、再生可能エネルギー(再エネ)の分野にもつながります。資源エネルギー庁によると、2023年の国内電力に占める再エネ比率は約22.9%(目安)。2040年度には約4〜5割を目指す方向で計画が進んでいます(計画値・変更の可能性あり)。洋上風力・水素エネルギーなどが重点領域とされており、発電設備の計画・施工・保守、脱炭素コンサルティング、研究開発といった職種が広がっています。
農地に太陽光パネルを設置しながら農業も続ける「ソーラーシェアリング」のような取り組みも広がっており、農業と再エネの境界は薄れつつあります。
成長産業としての再エネや脱炭素の動きについては、成長産業(再エネ等)の記事もあわせて読んでみてください。
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「生産者になる」だけが選択肢じゃない——多様な関わり方
農林水産・環境分野に関わる仕事は、「農家になる」「漁師になる」だけではありません。以下のように、関わり方は非常に幅広いです。
- 研究・開発:品種改良・農薬・肥料・機械・ICTシステムの研究(大学・研究機関・民間企業)
- データ・エンジニアリング:スマート農業・スマート水産業を支えるシステム開発・データ解析
- 加工・流通・マーケティング:食品メーカー・商社・小売での商品企画・ブランディング
- 政策・行政:農林水産省・地方自治体での食料政策・林業振興・漁業管理
- 環境コンサルティング・資源管理:企業の脱炭素支援・森林認証・水産資源評価
- 教育・発信:農業体験プログラム・食育・メディアでの情報発信
文系・理系を問わず、関心の入口はさまざまです。「食が好き」「自然が好き」「テクノロジーに興味がある」「地域の課題を解決したい」——どこからでも入っていける分野です。

【予習フレーム】大学・就職を見据えて、今のうちに考えておきたいこと
大学に進むと、農学部・水産学部・林学系・環境学部・工学部(農業ロボット・エネルギー工学)・経済学部(農業経済・フードビジネス)・理学部(生態学・資源科学)など、農林水産・環境に関わる学問は非常に幅広いことがわかります。「農学部=農家になる」というわけではなく、食品企業・商社・コンサルティング・官公庁など多様なキャリアにつながっています。
だから高校生の今のうちに考えておくと得なのは、「自分は食・自然・技術・地域のどこに関心があるか」という問いです。志望学部を決める前に、この問いを一度立ててみると、学部選びの視野が広がります。
また、社会に出ると「食料安全保障」「カーボンニュートラル」「地方創生」といった言葉が日常的に登場します。これらは高校の地理・現代社会・政治経済でも扱われるテーマです。受験勉強の知識を、こうした社会の問いとつなげて学ぶことで、論述問題や小論文でも自分の言葉で書けるようになります。
社会の"今"を読む視点をもっと深めたい人は、社会の"今"を読むも参考にしてみてください。
進路を考える前にやってみたい3つの問いかけ
難しく考えすぎなくて大丈夫です。まず、こんな問いを自分に投げかけてみてください。
①「食」に関心があるとしたら、どの場面?
食べること・作ること・売ること・安全性・文化・輸出入……どこが気になりますか?
②テクノロジーと自然、どちらが好きですか?(どちらでもOKです)
ドローンや農業ロボットに興味があるなら工学・情報系から農業へ。生き物や生態系が好きなら生物・環境系から。どちらの入口でも農林水産・環境分野には入れます。
③「地域」「地方」への関心は?
都市部に限らず、地方の一次産業・地域資源に目を向けると、自分が関わりたいフィールドが見えてくることがあります。

すすき野・あざみ野エリアの高校生が進路を広げるために
農林水産・環境エネルギーという分野は、一見すると身近に感じにくいかもしれません。でも、毎日の食事・気候変動・エネルギー問題は、横浜に住む私たちの生活とも確実につながっています。
進路選びで大切なのは、いきなり「職業名」から決めようとしないことです。まず「何が気になるか」「どんな問いに関心があるか」を言語化する練習が、大学入試の志望理由書や総合型選抜(旧AO入試)でも力を発揮します。
当塾では、受験勉強の合間に「この科目が社会でどう使われているか」を一緒に考える視点を大切にしています。地理・生物・化学・現代社会といった科目と、今回紹介したような社会テーマをつなげて理解することで、暗記だけに頼らない学びができるようになります。「農業のICT化を聞かれる論述問題が入試に出た」という話も、決して珍しくありません。今日の記事で扱ったような社会のテーマを、教科書の知識と結びつけながら読む習慣をつけていきましょう。
業界と進路選びをつなげて考えてみよう
ここで少し、高校生の「今」に引きつけて考えてみましょう。
大学の学部を選ぶとき、「なんとなく文系・理系」「偏差値で選ぶ」だけではもったいないです。「この学部で学んだことが、どんな業界・職種につながるか」を意識するだけで、選択肢が自分のものになってきます。
例えば、IT業界に興味があるなら情報系の学部が直結しやすいですが、文系学部からITのマーケティングや営業に進む人も多くいます。医療・福祉に関わる専門職を目指すなら、高校の段階で学部をある程度絞る必要があります。一方、商社やコンサルのような業界は、文系・理系を問わずさまざまな学部から採用するケースが多い傾向があります(ただし、学校・年度・採用方針によって異なります)。
近隣4校の指定校推薦1,369件を「業界につながる学部系統」で見てみると
「学部と業界のつながり」を、当塾が実際に持っているデータでも確かめてみます。当塾が集めている指定校推薦リストのうち近隣4校分・1,369件を学部系統別に集計すると、次のようになりました。
| 学部系統(件数・割合) | つながりやすい業界・職種の例 |
|---|---|
| 工学系 343件(25.1%) |
メーカー(自動車・電機・化学)・IT・建設・インフラの技術職 |
| 社会科学系(経済・経営・法など) 332件(24.3%) |
金融・商社・小売・コンサルなど、幅広い業界の総合職・公務 |
| 人文科学系 188件(13.7%) |
マスコミ・出版・教育・観光や、一般企業の企画・営業など |
| 保健系(看護・医療技術など) 167件(12.2%) |
病院・医療・福祉の専門職 |
| 理学系 125件(9.1%) |
メーカーの研究開発・IT・教育など |
| 家政系 68件(5.0%)/教育系 65件(4.7%)/芸術系 51件(3.7%)/その他 20件(1.5%)/農学系 10件(0.7%) | 食品・保育/学校・教育サービス/デザイン・エンタメ/—/食品・農業・環境 |
この集計から見えることが2つあります。ひとつは、工学系と社会科学系だけで全体の約半分(675件・49.3%)を占めること。メーカー・ITの技術職につながる工学系と、金融・商社など幅広い業界につながる社会科学系は、指定校推薦のルートも太いことが分かります。もうひとつは、農学系の枠は10件(0.7%)とごくわずかだということ。食や環境の分野に進みたい場合、指定校推薦だけに頼らない受験プランを早めに考えておく必要がある、という判断材料になります。
※この集計の対象は、当塾が集めている指定校推薦リストのうち近隣4校分・一覧5点(生田高校2016年度/元石川高校2023・2024年度/市ヶ尾高校2024年度/荏田高校2024年度)。掲載1,371件のうち学部名が判読できた1,369件を分類しました。指定校推薦の枠は年度や高校によって毎年変わるため、この数字は「傾向をつかむ材料」であり、特定の枠の存在や合格を保証するものではありません。詳しい分析は 文理選択は就職にどう影響する? をご覧ください。
「やりたいことがまだない」という人も、「この業界はちょっと面白そうだな」「この職種は自分には向いていなさそうだな」という感覚を少しずつ育てていくことが、進路選びの第一歩になります。答えを急がなくて大丈夫です。
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職業別に調べる
公務員・海外で働く・まちづくり・農林水産・食と環境など、職業別の詳しい内容はこの記事の各章で扱っています(上の目次からどうぞ)。今後も新しい職業のテーマは、記事を増やすのではなくこのガイドに章として追記していきます。
あざみ野・すすき野エリアの高校生が今からできること
業界と職種の全体像をざっと知ったところで、高校生の「今」にできることをまとめます。
まずは「気になる」を記録する習慣をつけてみましょう。ニュースを見ていて気になった企業、親の仕事について話を聞いてみる、好きなアプリやサービスを作っている会社を調べてみる——そういった小さな積み重ねが、業界への興味の種になります。
次に、業界と学部のつながりをざっくり把握すること。志望校・学部を絞るときに、「この学部はどんな業界・職種に進む人が多いか」という視点を一度持ってみましょう。大学のホームページにある卒業後の進路データは、一次情報として参考になります。
当塾でも、生徒から「将来どんな仕事があるのか分からない」「学部をどう選べばいいか」という相談を受けることがあります。受験勉強と進路研究は別物ではなく、「何のために学ぶか」が見えると勉強のモチベーションにもつながることを、スタッフとして日々感じています。
世の中にはたくさんの業界があり、その中に無数の職種があります。今日知った「業界×職種のかけ算」という地図を手がかりに、少しずつ自分の興味のある場所を探してみてください。

よくある質問
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