こんにちは!MySTEPスタッフの石川です。
「指定校推薦は書類だけで受かる」——進路相談をしていると、生徒からも保護者の方からも、この言葉をよく聞きます。校内選考さえ通れば、あとは面接だけで安心、というイメージです。
ところが実際に大学ごとの募集要項を読み比べると、その理解が当てはまる大学と、まったく当てはまらない大学があります。同じ「指定校推薦」なのに、片方は独自の試験がなく、もう片方は小論文と口頭試問の両方を一日かけて受ける、ということが起きています。

指定校推薦でも「試験なし」とは限らない理由
まず制度の話からです。文部科学省が毎年出している「大学入学者選抜実施要項」には、学校推薦型選抜(指定校推薦を含みます)について、次のように書かれています。
大学教育を受けるために必要な知識・技能、思考力・判断力・表現力等も適切に評価するため、高等学校の学習成績の状況など調査書・推薦書等の出願書類だけではなく、第6の1から4に掲げる大学入学共通テスト又はその他の評価方法等のうち少なくともいずれか一つを必ず活用し、その旨を募集要項に記述する。
出典:文部科学省「令和8年度大学入学者選抜実施要項」第3 入試方法 1(3)①
つまり、調査書と推薦書だけで合否を決めてはいけない、というのが国のルールです。ただしその「評価方法」に何を選ぶかは、大学に任されています。だから大学ごとに、小論文を課すところ、口頭試問を行うところ、共通テストの成績を求めるところ、資格・検定の成績を使うところ、と分かれます。
「指定校推薦は楽」という言葉が完全な誤解というわけではありません。一般選抜と比べれば負担は軽く、書類審査が中心の大学も実際にあります。ただ「どの大学もそうだ」と思い込むと、出願の直前に慌てることになります。
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実際の選考はここまで違う——大学ごとの一例
ここからは、当塾が進路相談で確認できた範囲の例です。同じ年度・同じ制度なのに、選考のやり方がこれだけ違います。
※以下の各大学の例は、2025年度入試の要項・選考書類で確認した内容です。指定校推薦の条件・枠は毎年見直されるため、最新の条件は必ず在籍する高校で当該年度の資料を確認してください。
独自の試験がない大学もある
立教大学の指定校推薦には、大学独自の試験がありませんでした。出願書類(調査書・推薦状・志望理由書など)で条件を満たしていると判断されれば、原則として入学が許可される、という書き方です。慶應義塾大学も、提出書類に基づく審査という形でした。
この2つだけを見れば、「指定校=書類だけ」というイメージはそのとおりです。
小論文と口頭試問の両方を受ける大学もある
一方で明治大学は、選考日に小論文と口頭試問の両方が組まれていました。午前に小論文、午後に口頭試問という時間割です。東京理科大学も、書類審査に加えて面接および口頭試問がありました。東京都立大学は、出願書類と面接(口頭試問を含む)です。
口頭試問は、志望動機を聞く面接とは別物です。学んできた内容について問われるため、教科の理解が浅いままでは答えられません。
共通テストの受験が必要な大学もある
早稲田大学は、指定校推薦でありながら大学入学共通テストへの出願と受験が条件に含まれていました。国語・数学・英語を受験し、その成績を提出することを確約できる者、という形です。
「推薦で決まったから共通テストは受けない」と考えていると、そもそも出願資格を満たせません。ここは特に誤解が多いところです。
試験の形式そのものが特徴的な大学もある
中央大学は「講義理解力試験」と面接で、しかもオンラインで実施され、大学に出向く必要がない形でした。学部によっては、別日程で事前課題が課されることもあると書かれています。
試験がない大学から、小論文・口頭試問・講義理解力試験・共通テストまで。「指定校推薦の対策」とひとことで言えないことが分かると思います。
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見落とすと出願できなくなる条件
評定平均だけを見ていると気づきにくい条件があります。当塾が実際に確認して「これは知らないと危ない」と感じたものを挙げます。
検定は「高校に入ってから」取ったものに限る場合がある
明治大学の書類には、検定・資格等の試験について、すべて高等学校在学中に取得・合格したものに限る、と明記されていました。高等学校入学前に取得したものは対象外です。
これは中学生のうちに英検などを取っている子にとって重大です。「もう2級を持っているから大丈夫」と思っていると、高校で取り直す必要が出てきます。中学のうちに合格していても、高校に入ってからもう一度受けておく、という判断があり得るということです。
専願の縛りの強さが大学で違う
上智大学は、他大学との併願だけでなく、上智大学自身の公募制推薦との併願もできない、と書かれていました。加えて学習成績の状況を「在学全期間を通じて」満たす必要がある、という条件です。最終学年の1学期までを見る大学が多い中で、これは基準の取り方そのものが違います。
履修科目の指定が細かい大学もある
理系の学部では、数学や理科のどの科目を履修していなければならないかが具体的に指定されていることがあります。高校2年の科目選択の時点で、指定校推薦の出願資格を満たせるかどうかが決まってしまう、ということです。慶應義塾大学の商学部にも数学の履修条件がありました。
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同じ大学でも、学部と高校で条件が変わる
ここが最も誤解されやすい点です。
法政大学の資料では、学部・学科ごとに条件がまったく違っていました。全体の評定だけを見る学科、英語にも別の基準がある学科、数学と理科の履修が細かく指定される学科、英語外部試験のスコア提出が「必須」の学科と「望ましい」の学科。つまり「法政大学の指定校がある」という情報だけでは、自分が出願できるかどうかは分かりません。
さらに重要なのは、同じ大学の同じ学部でも、推薦を受ける高校によって条件が違いうるということです。中央大学の書類には「貴校の出願資格」という項目があり、出願資格が複数の種類に分けられたうえで、そのうちのどれが適用されるかが高校ごとに示されていました。大学が高校ごとに条件を設定している、ということです。
だからこの記事の内容は、あくまで一例として読んでください。友人や先輩から聞いた「あの大学の指定校はこうだった」という話も、学部が違えば、高校が違えば、年度が違えば当てはまりません。確かめる先は、自分の高校の進路資料と先生です。
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高1・高2のうちにできること
ここまでを踏まえると、高校生が今できることははっきりしています。
一つ目は、評定を積み上げることです。どの大学でも学習成績の状況は必ず見られますし、高3の夏に振り返っても数字はもう動きません。定期テストの一回一回が、選択肢の幅そのものになります。
二つ目は、英語の外部検定を高校に入ってから受けておくことです。取得時期に条件がある大学があるうえ、スコアの有効期限を設けている大学もあります。高2のうちに一度受けておけば、選択肢を狭めずに済みます。
三つ目は、科目選択の前に指定校の条件を見ておくことです。理系学部を考えているなら、どの科目を履修していないと出願できないのかを、高2の選択の時点で確認しておく必要があります。
そして四つ目が、自分の高校の資料を早めに見ることです。この記事に書いたことは他校の一例であって、自分の高校に届いている条件とは違います。進路の先生に「指定校の資料はいつ見られますか」と聞くところから始めてください。
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あざみ野・すすき野の高校生が指定校推薦を選択肢にするために
指定校推薦は「楽な入試」ではなく、「高1から積み上げた人が使える制度」です。そして選考のやり方は大学ごとに大きく違い、同じ大学でも学部や高校によって条件が変わります。
- 国のルールで、書類だけで合否を決めることはできない。何らかの評価方法が必ず課される
- 独自の試験がない大学もあれば、小論文・口頭試問・共通テストが必要な大学もある
- 検定の取得時期、専願の範囲、履修科目の指定など、評定以外の条件を見落としやすい
- 同じ大学でも学部で違い、同じ学部でも高校によって条件が違いうる
- 確かめる先は、自分の高校の進路資料と先生。この記事の内容は一例
当塾でも、進路相談の中でこうした条件の読み方を一緒に確認しています。定期テストの積み上げが、そのまま進路の選択肢の広さになる——これは高1のうちに知っておくほど効いてきます。ご家庭でも、科目選択や検定のタイミングを話題にしてみてください。
指定校推薦の制度そのものについては指定校推薦は"ラクして受かる"は誤解|本当の仕組みと校内選考の対策で、評定の作り方については評定平均が低くても総合型・推薦はあきらめない|評定の本当の見られ方で詳しく解説しています。
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